アヤワスカ
https://tabicoffret.com/article/76994/index.html 【ペルーの伝統儀式アヤワスカでシャーマンと薬草の神秘体験リトリート】 より
ペルーといえば日本の裏側でとても遠い場所にありますが有名な観光地の国でもあり想像もしやすいかと思います。代表的なところでいうとナスカの地上絵、マチュピチュ、アマゾン川などペルーを訪れた事がなくても耳にしたことがあるのではないでしょうか。
他にもペルーにはアヤワスカといい古代から伝わる伝統的な体や心を整える儀式が昔からあります。それを行うのはシャーマンと呼ばれている日本でいう祈祷師や巫女にあたる役目の方が植物を煮立てた飲み物を作り、夜に行われる神聖なペルーの文化遺産として行われている物です。
広大なペルーは見所が多く至る所に神秘的な遺跡や行事がありますが今回はペルー北西部イキトスにあるアヤワスカとシャーマンをご紹介したいと思います。
ペルーのイキトスとナウタ村
イキトスはペルーのリマから飛行機で行きました。ここは飛行機または船でしか入る事のできない珍しい場所です。私は飛行機で約1時間ほどかけて着きましたが、窓からの景色は今まで見たことの無いジャングルが広がっていて、さらに気持ちを踊らせてくれました。
イキトスではアヤワスカは観光名産の一つになっており、滞在していたホテルではアマゾンツアーと同様に人気があります。事前に日本で決めてこなくても、イキトスで気に入ったガイドさんがいればフィーリングで決められるくらいに一般化されていました。
イキトス自体はジャングルなどのツアーの拠点地として人気の場所です。アマゾン川ツアーはブラジルなどでもできますが、イキトスで参加した方が料金的にリーズナブルのようです。
私はイキトスから車で約2時間強かけてナウタ村という所に向かいました。ナウタ村は小さな村ですがスーパーもあり毎朝市場も開かれていて、人々はここで買い物をして暮らしています。
都会の方はまた違う様ですが、イキトスやナウタで暮らしているペルー人は穏やかで、朗らか。アジア人に対しても特に差別的な印象もなく、旅をしやすいと思います。どこの国でも田舎の方は一般的に穏やかで気楽に巡る事ができますね。
アヤワスカ・リトリート
イキトスでは沢山のアヤワスカ・リトリート・センターがあると言われ、その数は約150はあるみたいです。
アヤワスカ・リトリートでは、ヨガ・リトリートと同様に1週間から2週間、センターの一人用の個室に滞在します。その間、選ばれた食材での制限された食事を摂りながら、毎日シャーマンが体の状態に合わせて処方してくれる薬草のお薬を摂取します。インターネットの使用も禁止され、食事などもスタッフが運んできてくれるので、基本的にあまり他者とのコミュニケーションも取れません。
その間に4回アヤワスカの儀式を受けます。
鬱病、痴呆症予防、アルコール中毒などの症状の改善に有効性がある様で、ペルーのセンターにはデトックスをしに世界中から人が訪れています。日本で言えば、日にちをかけお風呂に入り、体調を整える湯治に似ていると思いました。インドだとアーユルヴェーダのパンチャカルマの治療法に似ていて、世界にはその国それぞれのやり方があり、文化に敬意を払い受け継がれていて感銘を受けました。
アヤワスカと儀式
アヤワスカとはツル状の植物です。これを手作業でハンマーで砕き細かくパーツ分けし、チャクルナと呼ばれる葉と混ぜ合わせ、お水で長い時間かけて煮込み多少トロミのある茶色い液体を作ります。儀式の際に、この液体をシャーマンの元でショットグラス1杯分程飲みます。
アヤワスカのセレモニーは夜、日が暮れて暗くなってから暗闇の中で行われます。
暗闇の中シピボ族のシャーマンがイカロという歌を歌い、それは約6時間もの長い間続けられます。イカロの歌自体に癒しの効力がある様でそれを一人一人の前で歌ってくれ、マパチョというタバコもふかし、とても厳かな中行われます。
みなさんそれぞれの目的をシャーマンに伝えてから始まりました。
今まで長年かけて蓄積された毒素を体から排出するので、人により嘔吐や下痢をともなったりします。嘔吐によって、体内に溜め込まれている不要な物質や感情を体から出し、大きなデトックス効果が得られると言われています。
アヤワスカは「とても不味くて飲めたものじゃない」という情報をよく見ますが、私はそこまで酷い味だとは思いませんでした。幸い、私は嘔吐はそんなにありませんでしたが、ほかに嘔吐や下痢で苦しんでいる方もいたので、個人差がとても大きいと思います。
終わった後は生まれ変わった様だ、内側からスッキリしたなどと表現している方もいました。
まとめ
ペルーの大自然自然と共に生きてきたシピボ族のシャーマン達の凄さを体感しました。
現地に伝わる伝統的文化を肌で体験できたことは貴重な体験です。とても強烈な神秘体験を求めている方や、デトックスで体の状態を整えたい方にはおすすめです。
ペルーは日本から時間がかかりますが、見応え十分な国だと思いますので、まとまった休暇が取れる方には満喫できる国だと思います。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A4%E3%83%AF%E3%82%B9%E3%82%AB?fbclid=IwAR328jLALDVZC_wEqLaDC5VBaoOM5pwPspCxu55y5142ch9fyj_C0UlJBwE
【アヤワスカ】 より
アヤワスカ(ケチュア語: Ayahuasca、Ayawaska)は、アマゾン北西部で伝統的に用いられている幻覚剤[1]。ペルーの国家文化遺産[2][3]。狭義には原料のひとつ、南米のアマゾン川流域に自生するキントラノオ科のつる植物のバニステリオプシス・カーピ(以下カーピ)のこと。ハルミンを含むカーピと、ジメチルトリプタミン (DMT) を含む植物を組み合わせる。後者のサイコトリア・ヴィリディス(チャクルーナ)やディプロプテリス・カブレラナ(チャリポンガ、チャクロパンガ)を加え、煮出してこの幻覚性の飲料が作られる。服飲すると、嘔吐を伴う強力な幻覚作用をもたらす。主に先住民族がシャーマニズムの儀式や民間療法、20世紀に創始されたキリスト教系のサント・ダイミなどで宗教儀式に用いる。ハルミンは、可逆性モノアミン酸化酵素A阻害薬 (RIMA) であるため、シャーマンは何年も食事制限を守り、一般の参加者も前後には食事制限が行われ、また薬の相互作用にも注意が必要である。多くのドキュメンタリーが撮影されている。
臨床研究が行われている。治療抵抗性うつ病を対象としたランダム化比較試験 (RCT) では、7日目で寛解率(うつ病ではない比率)36%である[4]。また、薬物依存症の更生施設がブラジル、ペルー、アルゼンチン、ウルグアイ、チリにあり[3]、アヤワスカを使った治療に取り組んでいる[3][5][2]。
アヤワスカは72の先住民族集団が使用し、42の固有名詞を持つ[3]。
アヤワスカという呼び方は主にペルーとエクアドルで使われている。アヤワスカは、ペルー、ボリビアなどの先住民族の言語であるケチュア語で、「魂のつる」、「死者のロープ」という意味をもつ。「アヤ」は、魂、精霊、先祖、死者などを指し、「ワスカ」は、つる植物全般やロープを意味する。
ブラジルでは、カーピ、シポ、オアスカ、ダイミなどと呼ばれ、コロンビアではヤヘイ(Yagé)と呼ばれる。ヤヘイの名称は、ビート・ジェネレーション作家のウィリアム・バロウズと詩人アレン・ギンズバーグによる『麻薬書簡』(The Yage Letters) により一般に普及した。
歴史編集
サント・ダイミにおける儀式の様子。
アヤワスカはアマゾンにおける伝統的医学として、あるいは、宗教的実践のために用いられてきた、精神に作用する植物のお茶である[6][7]。先コロンブス期のアメリカ大陸において、アヤワスカによる幻覚を描写したと思われる岩絵が発見されている[8]。アヤワスカにふれた、西洋における最古の記録は、1851年にブラジルのアマゾン地域を探検したイギリス人のリチャード・スプルースによるものである。
アヤワスカの向精神性成分であるハルマリンは、1841年、砂漠地帯に生える低木のムクロジ目ニトラリア科のシリアン・ルー(英語版)(学名:ペガヌム・ハルマラ、Peganum harmala)から分離に成功し、1927年にはじめて化学合成される。1923年には、カーピからハルマリンが分離され、テレパシンと名付けられる(テレパシーに由来)。
1923年、南米における アヤワスカ儀式の映像が米国薬剤師会 (American Pharmaceutical Association) の会議で紹介される[9]。
1953年、作家ウィリアム・バロウズが、アヤワスカ(ヤヘイ)を探しにコロンビアとペルーを訪れる。バロウズはコロンビアで、植物学者のリチャード・エヴァンズ・シュルテス(英語版)と出会っている。この時の体験を元に1963年には、バロウズと詩人アレン・ギンズバーグによる書簡のやり取り『麻薬書簡』が出版される。
薬草と伝統医学の研究で知られるアンドルー・ワイルは、1967年にはじめて アヤワスカを体験し、後にコロンビアを訪れる。
1975年、植物学者のテレンス・マッケナとデニス・マッケナ兄弟による実地調査の記録が、著書 The Invisible Landscape にまとめられる。
ブラジルでは、1930年代に設立されたサント・ダイミや、1961年に設立されたウニオン・ド・ヴェジタル(英語版) (União do Vegetal) などが アヤワスカを儀式に使用している[5]。これらはキリスト教と統合したアニミズム的な教義をもつ宗教団体である。21世紀初頭にも、これらの信者の集団はアメリカ、イギリス、フランス、オランダ、スペインなどでも見られる[6]。2005年までにサント・ダイミは23か国に教会を持つ[3]。こうして多くの人々とアヤワスカとの接触があり、学者からも注目を集めてきた[6]。日本でも、1994年に放送されたNHKスペシャル『驚異の小宇宙 人体II 脳と心』(第6集:果てしなき脳宇宙―無意識と創造性)にて、アヤワスカを飲んだ時の世界をキャンバスに描くパブロ・アマリンゴを取材し、彼はアヤワスカが、植物のささやき、宇宙、体内、超生命体、霊的なものを見せる全世界の目であると語った。
また近年アマゾン西部には、主に欧米人向けに改良された アヤワスカ体験を提供する宿泊施設が建てられ、数週間の代替医療プログラムへの参加や変性意識体験を求めて多くの人が訪れる。アヤワスカ・ツーリズムと言われ、賛否両論を呼んでいる[10]。
2008年にペルー政府は、アヤワスカはペルーの国家文化遺産の一部であることを正式に宣言した[3]。
先住民族による使用編集
エクアドル・ナポ州での アヤワスカ調理風景。
エクアドル・ナポ州での アヤワスカ調理風景。
原料となるカーピの皮とサイコトリア・ヴィリディスの葉。
原料となるカーピの皮とサイコトリア・ヴィリディスの葉。
アマゾン川上流域で アヤワスカを使用する先住民族のシャーマンの能力は、善良なことにも邪悪なことにも使われる。アヤワスカの精霊から歌を授けられ、その歌を使いわけることにより、アヤワスカは病気を治す薬となったり、敵を攻撃する毒となったりする。敵や呪術師による攻撃を受けたために病気にかかると信じられており、治療師は息を吹きかけたり、口で吸い上げたりして病気を治す。シャーマンが歌う歌や口笛は、病気の治療と呪いをかけることのいずれにも使われる。シャーマンは アヤワスカを飲むことにより体内に粘液を生成し、これを呪術的な攻撃からの防御や武器として使うと言われている。
儀式は夜間に行われ、夕方にアヤワスカが提供され、数晩かけて行われる[11]。
調合方法編集
バニステリオプシス・カーピ(Banisteriopsis caapi、以下カーピ)は、熱帯雨林の樹木に螺旋状に巻き付きながら成長し、小さなピンク色の花をつける。モノアミン酸化酵素阻害薬 (MAOI) であるβ-カルボリンの一種、ハルマラアルカロイド(ハルミンやハルマリン[11])を含有する[6]。カーピは南米におけるアヤワスカ茶のすべての調合において組み合わされる[12]。
南米アマゾンの伝統的な アヤワスカは、カーピの幹から樹皮を削り取り、これにアカネ科のサイコトリア・ヴィリディス(Psychotria viridis、チャクルーナ)や、キントラノオ科のディプロプテリス・カブレラナ(Diplopterys cabrerana、チャリポンガ、チャクロパンガ)などの葉を加え、十数時間から一日煮詰めるか水に浸して得られる褐色の液体である。これらの植物の葉はトリプタミンアルカロイドであるN,N-ジメチルトリプタミン (DMT) や、5-メトキシ-N,N-ジメチルトリプタミン (5-MeO-DMT) を含んでいる。
DMTは、体内でも生産される、構造的にセロトニンに類似した非選択的セロトニン作動薬であり[6]、本来、DMTはモノアミン酸化酵素により体内で急速に分解されるため、経口摂取しても効果を及ばさないが、ハルマラアルカロイドに代表されるMAOIと組み合わせることにより向精神性作用を発現する[6]。その他にも、タバコ、ダチュラなどの植物が混入される場合もある。
ウニオン・ド・ヴェジタルで用いられるサイコトリア・ヴィリディスにはDMTを全く含まない場合もある[12]。
また西洋では、カーピの代替品としてシリアン・ルーの種子や、DMTの供給源としてミモザ・テヌイフローラ(英語版)(Mimosa tenuiflora、異名はミモザ・ホスティリス)の根の皮などが使用される。#アヤワスカ・アナログ参照。
医療における可能性編集
アヤワスカにより喚起される変性意識状態は、一時的な自我の喪失(英語版)を起こし無意識と向き合うことで大きなセラピー効果をもたらすとされる。
1993年、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のチャールズ・グロブ医学博士、薬理学者のJ.C.キャラウェイ、デニス・マッケナらが、ブラジルのウニオン・ド・ヴェジタル信者15名を対象に精神鑑定を行った。被験者は10年以上団体に所属し、定期的に アヤワスカを飲用していた。鑑定の結果、彼らは極めて健康であり、過去に患っていたアルコールなどの依存症、うつ病、不安障害からの改善を示した。神経症や精神病の傾向は皆無だった。また、血液検査では、気分を調整する神経伝達物質であるセロトニンの再取り込み部位の増加を確認し、抗うつ薬と同様の効果が得られることを示唆している[13][14]。体系化された使用法では医学的に安全である[3]。寄生虫駆除にも使われる[5]。
対照実験ではないが、6名での アヤワスカのうつ病に対する効果に関する研究では、ハミルトンうつ病評価尺度にて、摂取の翌日でスコアは平均62%減少し、21目では82%減少していた[15]。続く、治療抵抗性うつ病を有する29人を対象とした、二重盲検のランダム化比較試験 (RCT) では、すべての時点でアヤワスカの方が有意な抗うつ作用を示し、7日目で寛解率(うつ病ではない比率)36%となり、アヤワスカ群では64%が重症度が50%以上低下し、偽薬では27%の人々がこれに当てはまった[4]。使用によって瞑想によって向上するといわれているマインドフルネスの能力が向上し、それは、脳の皮質の接続性が増加したことと相関しており、このような神経の変化は2か月後にも向上していた[16]。
薬物依存症の支援のためのアヤワスカでは、アルコール使用率の低下、薬物乱用の減少といった観察結果が見られている[3]。2つの研究が幸福感の増加と、物質乱用の問題を減少させる可能性を示した[3]。ブラジル、ペルー、アルゼンチン、ウルグアイ、チリにて物質乱用の更生施設が開設されている[3]。ペルーのタキワシ治療施設では、アヤワスカを使用し、アルコールや薬物(主にコカイン、ヘロイン)依存症の治療に取り組んでいる[5]。とはいえ、依存症患者以外も優先的ではないが受け入れている[2]。ここで医師のロサ・ヒオベ・ナカザワがまとめた報告書のペルーの文化遺産の指定につながった[2]。国境なき医師団の仕事のためにペルーを訪れたフランス人医師が開設した。
カナダでは医師のガボール・マテ(英語版)が、薬物依存症とその根底にある心的外傷を癒すために アヤワスカを用いており、彼の活動は報道されている。
精神的作用編集
「サイケデリック体験」および「トリップシッター」も参照
視覚に及ぼす作用が特徴的で、目を閉じると、鮮やかなイメージが夢を見ているかのように連続して現れる場合が多い。訓練を積んだシャーマンが体験する「ヴィジョン」と呼ばれるイメージにはおおむね段階があり、まず幾何学模様が現れ、植物、動物、幻想的な建築物や都市という順序で展開するという[17]。ヘビ、ジャガーなどのネコ科動物、裸の黒人女性などのイメージが多く報告されている。シャーマンは アヤワスカの幻覚効果を通じて、はるか彼方の惑星を見たり、遠方に住む親戚の健康状態を知ったり、紛失した物の在処や、配偶者の浮気相手、患者を病気にした呪術師の身元をつきとめたりする。
急性投与では、忍容性はよく、内観能力と肯定的な気分を増加させ、視覚的な知覚を変容させる[18]。創造的拡散思考を高める[19]。長期的なアヤワスカの使用は精神病理や認知障害の増加に関連していない[18]。比較対象を含む計242人に、精神的不調、精神的健康の低下は見られず、認知障害、嗜癖問題や薬物乱用の原因とはなっていない[20]。
伝統的な組み合わせのアヤワスカは1.5時間から2時間でピークとなり、主観的効果を生じ、知覚の変化、肯定的な気分の増加を示す[15]。20分ほどで効果を生じ、1-2時間でピークとなり、4-6時間続く[6]。
儀式や研究実験の条件では精神病(精神障害全般のことではない)と関連していないが、統合失調症など精神病性の既往歴がある場合の精神病エピソードが報告されており、そうした条件のある場合には幻覚剤の摂取を避けるべきだとする論文がある[1]。幻覚剤後知覚障害 (HPPD) は、最近の近代的な臨床試験では報告されていない[21]
身体的作用編集
アヤワスカは苦みが強く、ひどい味がするため飲み込むことが困難なほどである。服飲すると、激しい吐気、嘔吐、下痢をもよおす場合が一般的で、そのため先住民族のシャーマンは、アヤワスカの儀式を、嘔吐により身体から寄生虫や毒などを取り除く「浄化」と呼ぶ[22]。震えを生じることもあり、体も疲れるため、楽しみのため、娯楽的にやるものではないといえる[23]。アヤワスカを頻繁に飲んでいるシャーマンが吐気や嘔吐の症状を示すことは稀である。吐気や嘔吐は、ハルマリンの作用によるものである。いくつかの部族は、儀式の前に食事制限を行う。肉や塩分、アルコールなどを控えることで吐気を和らげることができる。その他の身体的作用は、血圧と心拍数の上昇、耳鳴り、めまい、悪寒、発汗、倦怠感、眠気、下痢などがあげられる。服飲後30分ほどで効果が現れ、作用時間は2-6時間程度。
伝統的な組み合わせを用いたアヤワスカにおいて、拡張期血圧は高用量の摂取では増加が確認されたが、収縮期血圧や心拍数は有意な変化は観察されなかった[15]。摂取から、1.5時間で血中濃度は最大となり、精神的な作用のピークと異一致する[15]。散瞳を生じさせる[15]。離脱症状は観察されていない[6]。
相互作用編集
「可逆性モノアミン酸化酵素A阻害薬#副作用」も参照
アヤワスカは、モノアミン酸化酵素阻害薬 (MAOI) を含み、他の幻覚剤よりも薬物相互作用を起こしやすい[11]。ハルマラ・アルカロイドと、セロトニン作動薬の抗うつ薬(SSRI、三環系)や他のセロトニン作用のある医薬品、薬物(幻覚剤、覚醒剤)の併用は避けるべきであり、死亡例が報告されている(そもそもDMTでないなら併用せずとも作用する)[11]。伝統的な組み合わせでない、代替の組み合わせではより大きなリスクがあるかもしれない[11]。これはセロトニン症候群を引き起こし、血圧の上昇、昏睡、死亡にいたる場合がある。
またチラミンを多く含む食物は、高血圧を引き起こす可能性があるが、臨床試験においては記述されていない[11]。アヤワスカ儀式におけるアマゾンの食事法では、チラミンに対して設計されたものではないが、アルコールやチーズ、他の発酵食品を含んでいないあっさりしたものである[6]。例えば、前述のタキワシのセンターでは、酒、豚肉、塩、唐辛子を前後数日間避けるという指示がある[2]。シャーマンは塩、肉、砂糖、酒、セックスとドラッグを控えており、基本的に炭水化物の多い食品を食べ、魚を食べることもある[24]。シャーマンは何年も食事制限を守っており、刺激の少ない菜食を中心とした食事である[23]。儀式に参加する西洋人では、上記の薬を避けるのは当然として、アルコールやコーヒー油分の多い食物を避ける[23]。なおチラミンを含む食品は、ビール、ノンアルコールビール、赤ワイン、豆腐、大豆、特に発酵食品、チーズ、加工された魚、ソーセージなどがこれにあたる(飲料以外はタンパク質の多い食品)[25]。
MAOIであるハルミンの半減期は約6時間であり、阻害作用が生じている間はこうした相互作用の影響を受けやすい[23]。
アヤワスカ・アナログ編集
「en:List of psychoactive plants」も参照
テレンス・マッケナは1989年に、南米以外の土地では、DMTとβ-カルボリンを正しい比率で混合した、アヤワスカのコピーを生むしかないと考えていた[23]。これが アヤワスカ・アナログ(類似物)という考えであり、熱帯品種ではない植物から、カーピとチャクルーナと同じアルカロイドを含む組み合わせが見つかればよく、1990年代のサイケデリックなカルチャーでは話題のひとつとなった[23]。DMT に至っては、植物にありふれているらしいが、正当な化学分析の証拠が欠けている[23]。
非熱帯植物
シリアン・ルー[26]、ペガヌム・ハルマラ(英語版)は、中東産の雑草で、ハルミンとハルマリンは、この種と根から初めて分離されており、ハルマラ・アルカロイドの名前の由来ともなっている[23]。含有量はカーピを凌ぐとも言われる[23]。アメリカ国では蔓延した雑草であり、3本の草から250ミリリットルの種子が採取できる[23]。栽培には手間がかかる[23]。
チャボトケイソウ(英語版)(Passiflora incarnata:パッションフラワーの一種)は、アメリカ国の南東部や中西部の至る所に生えており、ハルマラ・アルカロイドを含んでいる[26]。
クサヨシ (Phalaris arundinacea) は、どこでも見られる草で、DMT を含み、栽培と抽出が容易で、採取にあたって植物を犠牲にせずとも葉と茎を刈るだけである[23]。あるいは、クサヨシ属の様々な種の、茎や葉[27]。
ヤマハギ (Lespedeza bicolor) - DMT
熱帯
ミモザ・テヌイフローラ(英語版) (Mimosa tenuiflora) - vinho da jurema (nigerine) (ポルトガル語) と呼ばれ、DMTを含有しブラジルで伝統的に用いられてきた[27]。他にユレマミンを含有する。
アカシアの一部の種 - DMT
ハイクサネム (Desmanthus illinoensis) - 根にDMTが豊富[27]。
ビロラ・カリフィラ (Virola calophylla) - DMT[27]。
TiHKAL には「DMTはどこにでもある」および「ホアスカ対アヤワスカ」といった章があり、他の植物の情報が提供されている[28]。『ドラッグ・シャーマニズム』の第10章は アヤワスカの類似物の説明と体験記にあてられている[23]。
法規制編集
国際的な向精神薬に関する条約は、アヤワスカに含まれる成分であるDMTをスケジュールIに指定し、あらゆる所持、使用を禁止されている。しかし、その第32条4項が、含有する植物の自生国における伝統的な宗教儀式への使用は規制から除外する。日本においても、DMTは麻薬及び向精神薬取締法において規制されている。しかし、植物の麻薬原料植物への指定はない。
国際麻薬統制委員会の見解では、植物は規制対象ではない[29]。
アメリカ合衆国最高裁判所は、ブラジルの宗教団体ウニオン・ド・ヴェジタルのアメリカ支部に対し、宗教的自由回復法に基づいて宗教儀式における アヤワスカの使用を認める判決を下した[11](2006年判例:Gonzales v. O Centro Espirita Beneficente Uniao do Vegetal)。ブラジルでは、1980年代半ばに宗教上の使用が合法化されている。(サント・ダイミ#法律)
http://www.seibutsushi.net/blog/2013/05/1383.html 【松果体】 より
脳の中でも特異な存在である『松果体』ですが、特殊な能力を持つシャーマンとの接点は、脳内麻薬物質といわれる『ジメチルトリプタミン』にありました。ジメチルトリプタミンは、南米シャーマンが儀式に使う「アヤワスカ」に含まれる幻覚物質であり、人の松果体にこのジメチルトリプタミンが存在し、生死に関わる危機に陥った際に放出されると考えられているのです。
人の松果体は、脳の中心付近の脳幹や小脳の上部に位置し、2つの視床体が結合する溝にはさみ込まれたグリーンピースほど(約8mm)の赤灰色をした内分泌器官で、視床後部の一部を構成しています。
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それでは、松果体の特徴をおさえるために、松果体の進化過程と機能について見てみましょう。
松果体の進化と機能 ~機能を変化させながら進化した松果体~
昆虫や爬虫類では「第三の眼」と表される松果体ですが、発生学的にも「目」の発生と類似性があります。脊椎動物の祖先である脊索動物が誕生した時には、まだ眼と呼べる構造はなく、脳の中に光受容細胞がある状態でした。この光を感じ取る細胞が、脳のあちこちにある程度まとまって発生するようになり、そのうち左右に飛び出した部分が眼となりました。生物によってはこの光受容細胞の集合場所が複数あり、その一部が松果体として独自の進化を遂げることになったのです。
カナヘビの頭頂眼(矢印が松果体)
魚や両生類の松果体には、眼と同様に光受容能があり、この光情報を他の神経系に伝達する役割をもっています。鳥の松果体は、生物時計の機能を持ち、外界の光情報をもとにして体内時計との時刻のずれを調整していると言われています。そして、ほ乳類の松果体には光受容能や時計機能はなくなり、ホルモンなどの内分泌器官となっています。このように、動物の進化に伴い、松果体の構造・機能は非常に大きく変化してきましたが、これほど変化する器官も珍しいのです。
松果体の脳進化における特異的な点は、進化過程で機能を変化させていることは無論ですが、その機能変化は松果体細胞の構造変化によっていることが挙げられます。視細胞から神経細胞へ、そして内分泌細胞への変化であり、それらはある特定の条件、例えば、ノルアドレナリンの過多であったり、カリウムイオンの濃度といった環境の変化に応じて細胞組織と構造を変化してきたと考えられているのです。
メラトニンを生成し、概日リズムを司る松果体
脳の内分泌器官である人の松果体が主要に生成するホルモンは、「メラトニン」です。メラトニンは睡眠をコントロールするホルモンであり、松果体ではセロトニンからメラトニンが作られます。夜暗くなることで松果体がメラトニンを生成し始め、メラトニンの増加によって人は眠くなるのです。そして、朝の光によってメラトニンの生成は抑制され、活動性を高めるセロトニンが増えてきます。
光受容能を失って内分泌器官となった人の松果体ですが、他の器官が受信した光情報を元に機能を発揮していることは、松果体の進化過程と無関係ではないのでしょう。そして機能が異なりますが、役割としては鳥と同様に概日リズムを松果体が司っているのです。
なお、以前に調査した「海馬」はセロトニンが抑制された状態(眠りの状態)でシータ波を受けることで神経細胞を生成し、記憶機能を高めていましたので、海馬の記憶にも松果体が深く関係しているといえます。
性をコントロールし、成長するにしたがって変化する松果体
進化的に大きく変化してきた松果体ですが、人の一生においてもその変化は大きいのです。松果体は古い機能であることを示す様に受胎後3週間で識別されるほど早期に形成される器官であり、生まれた時にはすでに非常に発達し、活発にメラトニンを生成します。思春期以降で徐々に縮小し、メラトニンの生成が減少してきます。やがて、さらに年をとると一部が石灰化する現象がみられて内分泌機能が低下するとも言われています。子どもがよく寝るのは、メラトニンがより多く作られているからなのです。同様に、加齢に伴い早起きになるのはメラトニンの分泌が少なくなるからなのでしょう。
また、メラトニンには性機能を抑制する働きがあり、思春期以降にメラトニンの生成が減り始めることで性機能が発達するといわれています。この働きは他の動物でも同様で、メラトニンの過多が発情期を決定しています。人は成人となりメラトニンが減少してくると性に目覚めるのですから、生物の行動にはとても重要な器官だといえます。
脳内麻薬を分泌する松果体 ~幻覚を誘発するジメチルトリプタミン~
本題のシャーマンの能力に関係していると考えられる松果体の機能について見ていきましょう。
脳の内分泌器官である松果体が分泌する物質はメラトニン以外に、「ジメチルトリプタミン(DMT)」があります。「ジメチルトリプタミン(DMT)」は、脳の麻薬物質といわれており、幻覚を引き起こす物質です。DMTは自然界にも存在する幻覚剤で、熱帯地域や温帯地域の植物、ある種のヒキガエルやヒトの血球などにも存在します。
DMTを含む熱帯地域の植物で有名なのが「アヤワスカ」で、以前にこのシリーズでも取り上げたアマゾンのシャーマンには古くからアヤワスカを摂取する習慣があり、シャーマンが儀式を行う際には欠かせないものとなっています。
DMTの幻覚作用に関する実験として、ニューメキシコ大学の精神医学教授リック・ストラスマンによれば、合計60人以上の被験者に対し400回以上に渡ってDMTを静脈注射で投与したところ、被験者の半数近くが地球外生物に遭遇したと報告しています。ストラスマンは、人間の脳内にある松果体においてDMTが神経伝達物質の一種として生産され、宗教的な神秘体験や臨死体験と関連しているという推論を唱えています。また、幻覚剤の研究家であるテレンス・マッケナは、DMTはエイリアンのいる異次元に誘う作用があると主張しています。なお、人の松果体からDMTが放出されるのは、生死に関わる危機に陥った時だといわれています。
今までのシャーマン脳の追求で、特殊なシャーマン能力や予知予言が危機察知能力に由来する可能性が高いこと、そして、ほ乳類における危機察知や危機逃避は『扁桃体』が司っていること、視床下部からの情報が扁桃体に逆入力することで幻覚・幻聴が生じることなどを明らかにしてきましたが、危機に面しても逃れられずに生死に関わる事態に直面した際には、『松果体』から幻覚を誘発するDMTが放出されると考えられるのです。
松果体と古い脳との関係 ~DMTによって世界が広がる理由~
危機を察知して脳や体全体に指令を送るのは「扁桃体」であり、心拍や呼吸や運動神経系を制御して危機に備える指令を発する扁桃体は、脳幹などの本能的な古い脳との繋がりが強いといえます。対して松果体は、その進化過程から明らかな様に扁桃体が形成される以前から存在する器官であり、脳幹などの古い脳ともより密接に関係していると考えられます。実際に松果体は脳の深部に到る3つの神経節細胞を有し、その一つは脊髄の巨大なニューロンとも結合しています。
松果体と古い脳との連絡が強いことは、人類における本能的な行動様式や進化過程で様々な外圧や環境変化に対応してきた古い記憶(無意識の記憶、集団的記憶)との関係も強いことを示唆します。個体における生死に関わる危機に際して見る幻覚は、人類が共通に持っている古い記憶に由来する可能性が高いと考えられるのです。
未開部族らの祭りや踊りによって彼らがトランス状態に陥り、非日常的世界を経験するのは、ある種のリズムや運動によってDMTなどの脳内物質が放出されることを契機として、古い記憶を呼び起こしたり、動物レベルに研ぎ澄まされた感覚によって平常では認知できない外部情報を認識することが可能になる、ということが考えられます。
また、齧歯類の研究等から松果体で生成される幻覚物質やホルモンは、神経細胞であるニューロンの感受性や反応の規則性に影響を与えると言われており、DMT等によって普段は認知できない外界刺激を感知できるようになる可能性を示唆します。例えば、電磁波の様な日常では感知できないような微細な刺激もその一つかもしれません。
電磁波が脳や神経細胞に与える影響は徐々にわかってきており、電磁波によって細胞内のカルシウムイオンが流出し、脳の松果体から分泌されるメラトニンが減少するのです。カルシウムイオンは神経の伝達や心臓の鼓動に影響しているのですから、DMT等で鋭敏になった脳や神経が電磁波を感知して反応するようになることも十分に考えられます。
松果体とシャーマンとの関係 ~古い記憶を呼び起こすシャーマン~
それでは、生死に関わる危機において何故幻覚物質が放出され、それがシャーマンの能力とどのように関係しているのでしょう?
DMTによる実験結果にみられる臨死体験や神秘体験、エイリアンとの遭遇や異次元体験から想定されるDMT放出の理由には、
・危機への恐怖や死に対する恐怖を和らげるため
・危機に対する突破口を切り開くため
・危機に対処するための過去の記憶を呼び起こすため
・日常的にはフィルターがかかった情報を認識するため
などが考えられるでしょう。
なお、DMTによって見る幻覚が誰しも似たような内容であることは、人類が過去に経験し、蓄積してきた『集団的記憶』による可能性が高いことを示唆します。その集団的記憶の内容が、危機に直面した際に生存の可能性を高めてきたと考えられでしょう。それ故に、誰にも備わっており、引き継がれてきていると考えることが自然です。
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人類は集団として進化適応してきた存在であり、優れたシャーマンは、集団を守り、導くために自然を対象化し、危機を対象化し続けてきました。それ故に、本物のシャーマンは人類本来の集団の中で生まれ、その環境下でこそ本来の能力が発揮される構造にあると考えられます。
集団が解体され、個人中心の社会になってしまった現在、超能力者、予知・予言者、霊能者と呼ばれる人々は存在します。彼らは確かにシャーマン的能力を身につけているのでしょうが、人類本来の集団的価値観を見失い、自我に束縛された者たちは、人を貶める霊能行為やいかがわしい宗教への道を歩むことになっているようです。
良き導き人(シャーマン)が常に道徳的で、人類のみに及ばず自然や宇宙をも対象化していることは、人類進化の歴史における必然だといえるでしょう。