思い付きを図にする意図とメリット
もう数千枚にはなると思う。
最近は数えてはいないが、私は仕事で図を多用する。随分前から、図を使わずに仕事をしたことがない。
創業時はそうでもなかったが、20年ぐらい前から、図を頻繁に使うようになった。
今であれば、平均して1日1枚ぐらいになるかもしれない。
提案書、セミナーのレジュメ、社員への説明資料、経営理念、ビジネスモデル、アライアンスの戦略図、サービスの説明、教育用のテキストなど。挙げだしたらきりがないが、私は図を使う。
20代の頃は、1枚の図を作ることで七転八倒した痛い記憶が今でもある。その時の反動もなくはないが、感覚的には、私の思考回路は図に合っている。
まず、単純に理解していただくために、人に何かを伝える時の方法を整理してみる。
“話する”を最初に思いつく人が多いだろう。
ただ、私は、話だけで済ませることは好きではない。お互いの“記憶だより”はよくない。
だから、私は“記録”を前提として仕事を進める。そうすると文章か図という選択になる。
もちろん、話しすることも含めて、文章、図を併用することもあるが、理解を進めるために分けて説明する。
文章を書くのは大変だ。しかも、一字一句、気を付けないと記録として残る以上、神経を使う。
また、文章で書いてしまうと、箇条書き、要約、詳細など多少の工夫は出来るが、とても硬直的になる。それこそ、ここに書いてある通りになる。
小説であれば言外の想いやストーリーを読者が自由に想像すればよいが、ビジネスではそうはいかない。それはリスクの方が多くなる。どうしても断定的になるのが文章だ。
また、例えば、ビジネスモデルのたたき台を考えたとして、自分のメモだけに使うのであれば、有用だが、こういうケースで文章を拠り所に誰かと打合せすると、結局は議論が迷走し枝葉の議論になりがちだ。アイデアが醸成されるにはいたらない。
では、図を使えばどうかというと、先にデメリットから書くと表現が曖昧になることは否めない。図には色々とあるが、私は俗にいう定番のビジネスフレームワークはめったに使わない。そういうのは、若手の部下に任せる。
私が作るのは、常に自由フォーマットだ。流石にストックが多くなると、過去の類似のパターンを引用することは時々あるが、基本的には、毎回白紙から下書きを書く。
そして、あまり厳密に図の種類や位置や関係性は考えない、頭に浮かんだものを描写する感覚だ。これは文章を書く時も同じだが、そもそも、考えながら作ると、なかなか、良いものには到達しない。頭に浮かんだことをさっと書く。だから、結構不整合もあるし、抜け漏れもある。
何回か修正を加えて、完成となる。
文章で言えば、推敲の感覚だ。
で、実際に使うとどうなるかであるが、セミナーやMTGなど、ケースバイケースだが、ここでは、新規事業モデル図の場合を少し書こうと思う。
まあ、新規事業をだれかに見せると反応はまちまちだ。例えばコンサルタント系の人だと、返ってくる質問は、たいていマネタイズは?である。
また、仮に金融機関の人に話しすると(実際は、私は構想段階のビジネスプランを説明することはまずないが)、徹底的な収益モデルのチェックに視点が行くだろう。
簡単に言うと、アバウトな構想図など、いくらでもツッコミどころはある訳だ。
だが、私が期待しているのはそういうことではない。
だから、最近は、図を感覚的に受け止めることが出来そうな人にしか見せない。
そうすると相手も感覚的に良い悪い。いけそう。ワクワクするね。こんな感じで返してくれる。
文章ではこういう反応はなかなか生まれない。
右脳左脳という使い分けの話は世の中では多い。図は右脳的だと思われるが、私は特に右脳左脳を意識している訳ではなく、感覚的なことを伝えるために図を使う。だから、あまり私の図には説明のためのものはない。
以上