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石川県人 心の旅 by 石田寛人

消毒液と手洗い

2020.05.18 12:56

 新型コロナウイルスは、全国、全世界に甚大な影響を与えている。米国では、死者の数が、ベトナム戦争の戦死者数を超えた。我が国は米国等に比較して、感染者、死亡者ともに少ないが、それでも700人を超える方が亡くなっている。我が国や米国のみならず、ヨーロッパ諸国やアジアの国々そして世界中で極めて多くの尊い人命が失われていくのは、言葉を失う思いである。我が国の緊急事態宣言の発令や特定感染都道府県の指定で、我々は家に籠もり、各種の営業活動は自粛が要請されて、経済は極めて厳しい状況が続いてきたが、このところの新規感染者の減少などを踏まえて、14日には我が石川県を含む39県で緊急事態宣言が解除された。これで、経済活動が活発化し、多くの方が職場復帰されることが期待されるが、もし我々が、新型コロナに対する警戒を緩めるようなことがあれば、再度、感染がぶり返すこと必定であろう。この4日に示された「新しい生活様式」で日を送って、遠隔で、あるいは人と人の間の物理的距離をとりながら、仕事を進めることに慣れなければならない。このウイルスには、長丁場の対応が求められる。

 新しい生活のポイントのひとつは手洗いである。私は、これまでもそれなりに手を洗ってきたが、性ズボラなため、それほど一生懸命だったわけでもない。しかし、現下の状況に鑑み、先月も書いたように、消毒液の入った印籠風の小瓶を腰にぶら下げて、頻繁に手指を洗うよう心がけている。このところ、テレビでも、手洗いの仕方が盛んに紹介されており、手の甲や指の間、爪の先や、親指の付け根、そして手首も、しっかり洗い、30秒ほどの手洗時間をかけるのが望ましいとされている。せっかちな私は、30秒とは随分長いと感じたが、先日、ストップウォッチを横に置いて、言われているとおりの手洗いを行ったら30秒はたちどころに過ぎてしまった。医学研究者として名高い山本博公立小松大学学長に訊いたら、大学で外科を志す学生は15分間しっかり手を洗うように訓練されるとのことである。一部の外科では、何も考えずに30分かけて肘まで洗うことが必須になっているとか。感染に対する医学界のこの慎重な対応ぶりにすっかり感動し、医療従事者の地道な努力に感謝しなければならないとの思いを改めて深くしたのであった。

 最近、この新型コロナウイルスは、昨年の終わり頃から、欧州でも感染の兆しがあったとの指摘が出た。もしそうならば、去年の11月末にチェコとオーストリアを訪問した我が石川県人会も、知らず知らずのうちに、やや危険な場所に足を踏み入れたことになる。幸い、我が一行は全員帰国後も無事であり、本当に良かったと思っている。プラハでとても良かったことのひとつは、高村秀雄さんの奥様が、宿泊したホテル近くのマサリク駅で、駅ピアノを弾かれたことである。私は、「駅ピアノ」と称して、いろいろな駅にピアノが置かれ、人々が自由に演奏できるようになっているとは聞いていたが、詳しいことは全く知らなかった。高村夫人の演奏に触発されて、帰国後、NHKのBS1で駅ピアノの番組を見ていたら、先日プラハ・マサリク駅の特別編が再放送された。大学生、会社社長、隣国からの旅行者などいろいろな人が来て、一曲ずつ演奏していく。映像に引き込まれ、またプラハに行って、高村夫人の弾かれたピアノを直に見たいという思いが込み上げてきたが、今のコロナの国際的蔓延が収まらないと、それもままならない。テレビを見ながら、このコロナ禍が早く克服されることを強く念じたのであった。(2020年5月18日記)