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石川県人 心の旅 by 石田寛人

白山と能登の1300年

2018.04.19 14:32

 昨年は白山開山1300年。今年は能登国立国1300年。

 「越の国」と総称される北陸北越地方のうち、福井県は越前国、富山県は越中国、新潟県は越後国が前身で、それぞれ「越」の前、中、後とはっきりしているのに対して、どうしてその間の石川県だけは加賀国と能登国であったのか、子供の頃は不思議だった。

 能登国は、奈良時代の養老2年(718年)越前国から羽咋、能登、鳳至、珠洲の4郡が独立して、立国されたのが始まりで、天平13年(741年)越中国に併合され、さらに天平宝字元年(757年)に越中国から分かれて、再度独立した経過をたどる。加賀国が越前国から分かれて立国したのは、平安時代に入ってからで、弘仁14年(823年)である。

 能登国が早く立国されたのは、朝廷から、日本海海運の物流港や軍港としての重要性が認識されたからかもしれない。

 能登が越中国に併合されていた間に、大伴家持が越中守として赴任している。能登を巡視中の家持が気多大社に参拝したあと海辺に出て詠んだ歌「之乎路(しおじ)から直(ただ)越え来れば羽咋の海(み)朝凪ぎしたり船楫(ふねかじ)もがも」(万葉集巻第17、4025番)など、能登を題材とした歌が万葉集にあることは、とても嬉しい。

 15日の夜、ここまで書いたところで、何気なくテレビの時代劇チャンネルを付けたら、「超特急参勤交代」なる映画をやっている。つい引き込まれて見た。そこで、能登国のことは、書きたいことが膨大で、尽くしがたいから、ここからは、その映画についてコメントしたい、

 この映画は、私にとって斬新で、昔楽しんだ阪東妻三郎や片岡知恵蔵、市川右太衛門が活躍する時代劇と趣は全く違っており、そこが面白かった。出演陣は豪華で主演は佐々木蔵之介と深田恭子。湯長谷(ゆながや)藩が、幕府の悪い老中に命じられて無理な日程の参勤交代(厳密には「参勤」)を命じられながら、無事それを仕遂げるもので、この映画は大当たりしたようだ。実際に私が見たのは、その続編で「超特急参勤交代リターンズ」。すなわち、江戸から国許へ帰る部分、つまり、参勤交代の「交代」にあたる。ここでも陣内孝則扮する悪老中の陰謀は敗れるのだが、この敵役は架空の人物。しかし、湯長谷藩は、いわき市にあった15000石の実在の藩。藩主は内藤家で、その後裔の内藤博氏は金沢の「藩校サミット」に出席されており、我が前田名誉会長と同級生で極めて親しい間柄とのこと。しかも、藩校サミットでは、徳川宗家御当主徳川恒孝氏と前田名誉会長のお二方と鼎談された東大の山本博文教授が最後にこの映画を解説された。妻ともども、珍しくテレビに釘付けされた私は、史実と虚構がおりなす面白さを堪能した。(2018年4月19日記)