「水準」ってなんだろう
水準:1.標準の高さ/2.高さに関する位置
だそうです。では標準って何?
標準:1.一般のあるべき姿を示すものとしてのありかた。/2.よりどころとなる目あて。
なるほど。物事には「水準」というものを定めているものがいくつもあります。生活水準とか観測水準とか。
生活水準というのは概念であるし、観測などの水準は人間が具体的数値を何らかの方法で定め、定義づけたものです。
では、音楽に水準はあるのでしょうか。
例えば「プロの水準」とか「中学校吹奏楽部の演奏水準」など。
そう考えると音楽における水準というのは難しいものがあります。
中学校吹奏楽部の演奏水準と言っても、わかりやすく言えば吹奏楽コンクールで全国大会に出場している大編成バンドと、数名で楽しくのんびり活動している学校では、基準をどこに置くか、それを見ている人の価値観によっても大きく変化するでしょう。
他にも「音大生なら当然できること」「音大生のレベル」「プロなら当然できること」と言っても、大学によって、学年によって、門下によって、個々が持っている意思や目指すものによって、時期によって、練習量によって、環境によって、働く内容によって、場面によってすべては変化するわけで水準というものを定義するのは不可能です。
音楽はある程度のマジョリティ的評価があるにせよ、どこまで行ってもそれを受け取る人、個々の感じ方によって評価が大きく分かれるものなのです。
それなのに「中学校吹奏楽部のレベル」「音大生なら当然できる」などと不明瞭な水準を主張をする人がいるならば、それはその人が経験、体験、もしくは情報として手に入れたごく狭い知識から生まれた個人的認識であり、単なる無知を露呈しているに過ぎません。もしくは現実的なものではない「その人の理想的水準」であり、そんな価値観を他の人に押し付けるのは無理があります。
荻原明(おぎわらあきら)