#124.音楽大学 その2(入学までにすべきこと)
今から30年ほど話になりますが(ってかそんな前か!)
私が音大受験生だった頃、先週のお話の中にも出てきた夏と冬に開催する音大の受験講習会に参加した際、私の世代は第二次ベビーブーム末端で子どもの数が多かったこともあるでしょうが、トランペットで受験する高校生(ほぼ高3)+浪人生の人数だけでも30人以上いた記憶があります(いやもっともっと多かったかもしれない)。講習会期間中自由に音出しができる部屋があったのですが、ギュウギュウだった記憶があります。
前回の記事をご覧になっていない方はぜひそちらもどうぞ
では現在はどうか、と言いますと、世の中の子どもの人数は減っているので30年前に比べればだいぶ少なくなっています。ただそれは大学や専攻によって様々で、集まっているところには集まっているように感じます。
さて、前回音大入試の話をしましたが、現在は総合型選抜、少し前までAO入試と呼ばれていたシステムが音大にも導入され始めています。例えば私が講師をしている東京音大の吹奏楽アカデミー専攻はこの入試があり、一般入試とは違って実技と口述試問(口頭で音楽についての質問などを行うこと)しかありませんので、ぶっちゃけ楽です。一方で同じ東京音大の器楽科(管弦打楽器)は「優秀者総合型選抜」という名前で、やはり実技しかないのですが、その課題はハイレベルです。要するに楽器がハチャメチャに上手だったらOK合格!ということです。
どちらにしても専攻の楽器がきちんと演奏できれば合格できる可能性があります。
しかし言い換えるとこれは、「ピアノ弾をいたことがない」「楽典全然勉強してなかった」「聴音て何?それ美味いのか?」という状況でも楽器だけ上手だったら合格できてしまうわけですが、この状況で入学すると、ものすごく大変なので絶対にオススメしません。
そもそも音大入試の内容というのは上手だから合格するというよりも、将来性があるかを見ていると考えたほうが良く(もちろん将来性がある=専攻楽器が上手の構図が成り立つのですが)、そういった点で言うならば入学してからその大学の授業やレッスンにスムーズについていけるかを確認するようなものです。入学した時点で「一般入試で出題される音楽の基礎知識と基礎力を持っていることが前提」という地点からいきなり授業がスタートするので、基礎的なところから懇切丁寧に教えてくれるわけではありませんし、そんなカリキュラムはありません。基礎力が不安定な状態で入学するのは、例えて言うなら異国の街中で迷子になったような状態だと、学生を見ていて感じます。
ですから、「入試が楽だから」という理由でどこかの大学や専攻を選ぶのは自由ですが、例え入試に含まれていなかったとしても入学前までピアノ、楽典、聴音、歌などの基礎力は可能な限りしっかりと身につけておくべきです。そうしないと入学時点でいきなり出遅れて、授業でも苦労し、大学生活が大変すぎて楽しくない、という結果になる可能性があるのです。
ということで若干おどかすような内容になってしまい申し訳なかったですが、事実は伝えておこうかと思い、書いてみました。別に音大は怖いところではありませんけど、充実した大学生活を送るためにも、できることはできるうちにやっておきましょうね、と言うお話しでした。
音大は専攻楽器が演奏できるだけじゃダメなんです!
それではまた次回!
荻原明(おぎわらあきら)
[楽典オンライン講習会(最終回)]
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