アメリカ市場分析「世界デフレから単独脱出を試みるアメリカ」
世界デフレは戦後初の状態となり、資本主義では成り立たない未知の世界
1998年から日本はデフレになり、戦後世界でデフレになった国は日本だけです。
リーマンショック以降、世界はデフレになりつつあり、日本はこれによりダブル要因でデフレ化が進んでおります。
1929年の世界恐慌から、いち早く物価が上昇傾向に生じさせたはアメリカであります。
世界恐慌から4年後という早さで、ニューディール政策により脱却できました。
日本は20年たってもデフレを脱却できておりません。
過去の世界恐慌の教訓から、金融危機になってもデフレだけは回避しなければならないとヨーロッパ・アメリカが現在必死になって対策を取っています。
■ニューディール政策
ニューディール政策において実施した内容は、
・TVA(テネシー川流域開発公社)などによる大規模公共事業
・CCC(民間資源保存局)による大規模雇用
・NIRA(全国産業復興法)による労働時間の短縮や超越論的賃金の確保
・ AAA(農業調整法)による生産量の調整
ワグナー法「全国労働関係法」による労働者の権利拡大
となり、資本主義の原則が通用しないデフレ状況では、大規模公共事業や公務員の雇用数を大幅拡大させるなど、一見無駄と思われる政策が効果を発揮します。
■資本主義とデフレ
物価が下がる、つまり貨幣価値が上がる状況において、民間は投資を避けます。
なぜなら貨幣を保有しているだけで将来価値が上がるからです。
貨幣価値が将来下がる時に銀行からお金を借りても投資することで、利益を生むのが資本主義経済下での民間企業ですので、デフレ下では民間投資による期待はほぼありません。
つまり、資本主義ではない状態と言えます。
ニューディール政策をみても、政府が多額の資金で無駄と思われる事を強制的にしなければ、デフレは脱却できません。
最近では築地市場の移転が無駄とか、ダムが無駄とか、公務員を縮小するなど、日本はデフレ対策と真逆の事を実施しているため、まだまだ脱却できないと思われます。
思いっきり無駄な事業や、無能な人員を大規模雇用するなど、通常と真逆の政策を取らなければ、デフレは脱却できません。
■アメリカの政策
トランプ大統領の政策は日本で批判する人が多いですが、世界デフレの回避と見ると間違った政策とは言い切れません。
●通商政策
他国の安価な商品に高い関税をかけることで、税収を呼び込み、物価を上昇させることができます。
●移民政策
製造業などに従事していた中間層の仕事が、同じ能力なら安価な移民が実施することで、ミドル層はロー層へ移行し、アッパーミドル層とロー層の2極化へと進んできました。
この移民政策で、価格が一緒なら能力の低い米国人でも雇用しなければならないということは、デフレ対策政策と見れば合っていると考えます。
資本主義と真逆の考えで、無駄な人件費に力を注がないとデフレから脱出できません。
●インフラ投資
10年間で1兆ドルものインフラ整備計画は、公共施設・鉄道・発電所など大規模公共工事により労働者の確保や、老朽化したインフラを最新にして、将来のアメリカ経済を更に加速させるかもしれません。
正にデフレ対策の王道の政策です。
●安全保障
欧米資本主義の原動力でありました重商主義は、経済と軍事が一緒になり海外グローバルマーケットの覇権争いをしてました。
市場志向型行動様式にて、資本家・起業家たちの利益の追求は、指令志向型行動様式である国家の軍事機構が保証することで、国外から利益を得る事ができました。
この欧米資本主義の考え方の真逆の事は、軍事の関与を減らすということです。
他国にかまっている場合ではないのかもしれないという見方のほかに、他地域のデフレに引き込まれるのを回避するために、今までと異なる政策を取る必要があるのかもしれません。
■非常識な行動の必要性
日本でも貨幣価値が下がっても、投資を思いっきり行う大バカ者の出現が、デフレ脱却に必要になります。
それも数十兆円規模の投資を非常識に行う人が今の時代に必要になります。
この非常識な行動が必要になるのは、デフレは資本主義ではないからです。
民間企業でこのような非常識な事を行える企業はありません。
そのため、この非常識な行動は政府しかできません。
アメリカはいち早く脱却するために、一見非常識と思われる行動を政府が大々的に実施していくことでしょう。
時代が変化しております。
非常識がこの経済下では、常識ある真っ当な考えとなります。
民間でも競争力を落とし、同じ業種内での合併を進めるのも常識になり、非効率部門の確保も常識になる時代に突入してます。
常識の転換をいち早く図らないと、次の時代で企業を持続することが出来なくなる恐れもあります。
それが世界デフレ下の生き抜き方かもしれません。