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「好き」を仕事にするために、まずは得意なことで独立。自分が価値提供できることを分析して仕事を広げる~フリーランス キャリアアドバイザー西田知佳さん~

2021.09.06 09:39

フリーランスになりたい方やフリーランス初心者の中には、やりたい仕事をずっとつづけていけるのか、不安を覚える方もいるかもしれません。

今回お話をおうかがいしたフリーランスキャリアアドバイザーの西田知佳さんは、求人広告会社の会社員として年間約1000人の転職相談を経験したのち、複数回の転職や働き方の変化を経てフリーランスに。


「キャリア形成」「仕事」を軸にした豊富な職務経験をもとに、現在も年間300人もの学生や社会人のキャリア相談を行っています。独立後もいきいきとお仕事をされている西田さんに、フリーランスを長くつづけていくコツをおうかがいしました。


フリーランス初期は、興味のある分野や好きな分野で人と接点を持つこと

───独立を考える人の中には、その後の生活やお仕事の状況が想像しにくく、独立をためらう方もいらっしゃいます。そのような場合はどう準備を進めたらよいでしょうか。

西田知佳さん(以下、西田):まずはフリーランスをされている方、複数人にお話を聞くことをおすすめします。仕事面だけでなく生活費のことなど生活面も含めて、理想と現実とのギャップや、今自分に足りない部分を把握できるからです。


話を聞くフリーランスの方は、周囲の知り合いをたどって紹介をお願いする、少し勇気を出して、SNSやインターネット上の記事などを見て気になった方にDMなどでアプローチするといった方法で探せます。フリーランスの方は突然の連絡に慣れている方が多いですが、丁寧にお願いしてみましょう。


私の場合は「ランチ代を支払う代わりにお話聞かせてください」と申し出て、5人以上の方とお話できました。どの方にも「西田さんは何ができるんですか?」と聞かれましたが、すぐに答えることができず、何も言語化できない自分に気づいたんです。自分自身を見つめなおす、いいきっかけになりましたね。


───人脈が仕事につながるというイメージを持つ方も多いですが、フリーランスとして仕事を得るために人脈づくりは必要でしょうか。

西田:表面的な関係はすぐに途切れてしまいがちなので、仕事を増やすためという目的で、むやみに人脈をつくることはおすすめしません。好きなことや勉強したいことを学べる場にまず足を運ぶ。そしてそこで出会った人を大切にする方が大事です。

今は対面に限らず、オンライン上でも職業やスキルをはじめ、さまざまな分野に関する勉強会やコミュニティがあるので、まずはそういった場を活用してはどうでしょうか。


興味のある分野で出会った人との関係は深まりやすいですし、同じ趣味・嗜好や似たような考え方を持つ人ともつながりやすいんですよね。私の場合も、実際にそのようなコミュニティで知り合った方に相談に乗っていただいて、フリーランスになる際の道がひらけました。


着実に収入を得るために、まずは自分が価値提供できることに目を向けよう


───フリーランスとして好きなことや、やりたいことで収入を得るには、どのようなステップを踏めばよいでしょうか。

西田:もちろん好きなことを仕事にするのは大切ですが、そこにとらわれ過ぎず、まずはある程度、生活を安定させることを意識した方がよいですね。そのために、自分が得意なことやできることについて考えることが必要です。


仕事とは自分が提供する価値に対価をいただくことですから、やりたいことを自己満足で終わらせないためにスキルアップが重要になります。でもそれって、心に余裕が持てていないと難しいんですよね。経済面がある程度安定すれば、気になるコミュニティや勉強会への参加など自己投資ができますし、理想の仕事や働き方へ堅実に近づけます。


そこで、今自分が価値提供できることは何かを考えてみてほしいです。私自身は、会社員時代と近い仕事で業務委託契約をし、そこから少しずつ好きなことや、やりたいことを広げていきましたが、これもひとつのやり方といえます。


───自分の強みや適性には、どうすれば気づけますか?

西田:周囲の声に耳を傾けることを意識すると気づきやすいです。たとえば仕事でだれかに褒められたとき、「〇〇さんらしいね」と言われたとき、自分のどのような部分を見てそう感じたのか、突っ込んで聞いてみましょう。そうしていくと、似た意見が集まる場合が多く、自分が気づいていなかった強みや適性を知れます。そういった面でも、勉強会やコミュニティに参加することをおすすめしたいですね。


私自身も、仕事以外の場で自分を褒めてくれる人が増えたことが自信につながりました。もともと人前で話すことが苦手だったのですが、「こういうことが勉強になりました」「とてもわかりやすかったです」と感想を複数いただけて、「自分で思っているよりも話すことが得意なのかも」と気づけたんです。


将来のビジョンや働き方に合わせ、柔軟に変化していけるのがフリーランスの魅力

───フリーランスとしてキャリアを築くことの魅力とはなんでしょうか。

西田:新たに興味を持った仕事に挑戦しやすいことです。自由な時間を確保しやすくなるからこそ、好きなことをする時間も増え、スキルアップして仕事の可能性を広げやすくなりますね。


私の場合は人材業界に長年かかわる中で、幼少期から学生時代の経験がキャリアや働き方に大きな影響を与えると感じていました。そこで、小学生中学生高校生に関わりたくなったのですが、会社で携わるのは大学生の就職、社会人の転職や企業の採用サポートのみ。会社員のままでは難しかったんです。


実際に、独立後は学生や社会人の進路相談員など、仕事の幅を少しずつ広げることができています。さらに将来、自分のビジョンややりたいことが変化したとしても、それに合わせて仕事や働き方を柔軟に変えていけるのがフリーランスの魅力ですよね。


───フリーランスを目指す方へアドバイスをお願いします。

西田:まずは目の前にあることを着実に行っていくことが仕事につながっていきます。フリーランスは将来の見通しが立てにくいと感じ、不安を覚える人もいると思います。けれど先々のことを考えすぎると動けなくなってしまうもの。頭で考えるのはほどほどに、必要な情報を調べる、人に話を聞きに行くなど、手足を使って行動してみてほしいです。


これまで数多くの方の相談にお答えしてきましたが、どんどん動ける人がフリーランスとして成功しています。想像するだけではわからない、やってみなければ見えてこない景色もたくさんあります。やりたい仕事や働きやすさを追求するための手段として、フリーランスという働き方を上手く活用してほしいですね。


インタビューを終えて

「好き」と「得意」を掛け合わせて働くこと。簡単に言葉にはできても実際に行動に移すにはどうすればよいのかわからないし、そもそも自分にとっての「得意」とはなんだろう……。そのような1つひとつの疑問に対し、西田さんはご自身の経験を交えて丁寧にかつ具体的にお答えくださいました。


目先の手段や理想にとらわれ過ぎず、まずはどのような価値提供ができるのか考えることが、やりがいに満ちた仕事につながっていくのだと学べた取材でした。


(取材・執筆:PRライター 根本美紗子 / 編集:PRライター 神田祐佳)