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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

恐怖政治6-勝利の組織者カルノー

2021.09.06 11:12

フランス革命軍は何と120万人まで膨れ上がった。しかし戦争は頭数だけではない。ここでラザール・カルノーという工学者で軍人という人物が現れる。彼はあの熱力学で有名なカルノーサイクルを発案した物理学者カルノーの父である。平民出身のため国王軍では出世できなかったが、戦争に疎い公安委員会で頭角を現す。

彼は、国民公会で「フリードリヒ大王を真似てライン軍から兵を割いて北方軍を強化せよ」と言って信任を得た。一日16時間徴兵、軍需工場、兵制改革すべてを取り仕切り、空前の規模の14師団をつくり前線に配備した、漢の劉邦軍でいえば蕭何の役だ。

連合軍は思惑違いから分裂し、イギリス軍は自国のために北上して、ダンケルクを包囲していた。9月、援軍を得た仏軍4万2千が、1万7500の英軍をオンドスコートの戦いで破り、ダンケルク包囲から撤退させた。

10月には、新たな北部司令官ジュールダンが就任。墺軍に包囲されたモブージュに向かった。15日、4万人の仏軍がワッティーニで激突。緒戦には敗れたが、翌16日ジュールダン自ら先頭に立ち、しゃにむに押しに押して、遂に墺軍を撤退させた。この功績によりカルノーは勝利の組織者と呼ばれる。