旅するきめこみパッチワーク/椿と妻籠宿
こんにちは!ブログ担当のYです。
さまざまな色柄、質感の異なる布地を組合せて、お花や景色を表現する「きめこみパッチワーク」。
さながら風景画を描くように楽しめ、完成した時は達成感で満たされます。
旅行がなかなかできない昨今、季節ごとに変わりゆく山肌、花、空に想いを馳せながら丁寧にきめこむことで、ちょっとした旅気分を楽しめます。
今回は「きめこみ・椿と妻籠宿(つまごじゅく)」をご紹介します。
「きめこみ・椿と妻籠宿」は、長野県木曽郡に位置する、江戸から京を結ぶ中山道の42番目の宿場町「妻籠宿」が舞台です。
日本全国にある数々の宿場町の中でも、いち早く古い町並みを保存する取り組みを始めた場所として知られています。
江戸時代の面影がそのまま残された妻籠宿は、世界的に有名なガイドブックやイギリスBBCで紹介されたことから、外国人の間で「サムライの道」と呼ばれるようになり、コロナ禍の前までは年間約7万人外国人観光客が訪れていました。
妻籠宿はもともと、交通の要所として賑わいを見せていましたが、明治時代に入ると、鉄道や道路が新たに造られ、宿場街として衰退の一途をたどりました。
やがて昭和になり、江戸時代の宿場の姿を色濃く残している町並みが見直され、全国に先駆けて保存運動が起こるようになりました。
前回ご紹介した「大内宿」と同様に、妻籠の住民たちも町並みを守るために、家や土地を「売らない・貸さない・壊さない」 という3原則をつくり、貴重な財産として後世に伝えています。
妻籠宿は幕府により防塞施設としても造られており、「桝形(ますがた)」と呼ばれる直角に折り曲げた道や、高低差を設けることで敵からの見通しを悪くする工夫が凝らされています。
こうした枡形や高低差は、「きめこみ・椿と妻籠宿」でも忠実に描かれています。
絵柄の中でもとりわけ目を引く、「雪と椿」をよ〜く見ると、それぞれ特徴的な布をきめこんで再現していることがわかります。
雪は、フワフワした質感のわた布やキラキラしたジャガード生地で表現。
雪解けに濡れる椿は、ラメ入りのちりめん布で表現し、色鮮やかな花々と素朴な家屋との美しい対比が印象的です。
まだまだ暑い日が続いていますが、冬を先取りしたきめこみパッチワークの宿場町でひと休みしていきませんか?