自閉症とバイリンガル
2017.04.11 22:00
障害児(自閉症、 特異性言語障害、ダウン症)であっても、モノリンガル環境かバイリンガル環境かで主要な言語の発達には差が見られないという結果の出ている研究論文があります。
二言語環境に育つと言語発達が遅れると世間でよく言われている考えだけでなく、自閉症の子どもはその特性からも考えて、バイリンガル環境の子どもはモノリンガルの子どもより言語発達が遅れるだろうと研究者が予想したけれども、その差はなかったという結果です。
海外で日本語教育を目指そうとしても、「二言語で子どもが混乱するのでは」「現地語の発達が遅れるのでは」と心配になったり、「日本語より現地語が大事だから」と周りから注意されたりして、諦めてしまうケースは少なくないと思いますが、これを読む限りその必要はないのではないかと思います。
バイリンガル環境で育てることが現地語の習得にマイナスにならないという主張は、多くの日本語話者の親にとって心強い支えになるように思います。
ただ、子どもの言語能力は極めて個人差が大きいですし、子どもの性格の差もありますから、健常児であってもなくても、子どもの状況と能力の見極めは大切とも感じます。
日本語を勉強するペースをゆっくりにする、日本語と現地語のインプットのバランスに気を配る等の細かい配慮も常に必要だろうと思います。
この論文は、下記から読むことができます。
「二言語環境が自閉症スペクトラム障害のある子供の言語発達に及ぼす影響」