植物は人間のように話し合う
Facebook・竹元 久了さん投稿記事 🔵植物は人間のように話し合う!
植物は自ら動くことはできない。それゆえに、生き延びるための不思議な戦略を発達させた。そうした中には、化学物質を利用して昆虫などとコミュニケーションを図る能力がある。それどころか、音楽を聴いたりする知性をも持ち合わせているようだ。
以下、「植物の「心」について」より転載です。
植物は動物のように鳴きません。声も出さないし、言葉も話さない。だから植物には意識も感情もない、多くの人はそう考えます。しかし、もし仮に互いにコミュニケーションを取り合うことを会話だとすれば、植物たちは明らかに会話を交わしています。いや、それどころか植物は音楽を聴いたり、人の気持ちに同調したりしているかもしれません。今回はそんな植物の「心」についての話です。
■SOSを伝え合う植物
1980年代、アメリカの2人の科学者、ボールドウィンとシュルツがある実験を行いました。実験は若いポプラの木に繁る葉のうちの二枚を破るという簡単なものでした。その結果、不思議なことが起きました。同じ木に付いている他の葉のタンニンの含有量がぐんと増えたのです。タンニンはお茶や渋柿などに含まれる苦い物質で、葉っぱを食べる昆虫が嫌うもの。葉を食われたと勘違いしたポプラが、他の葉を害虫から守るためにタンニンを作り出したのです。さて、不思議なのはここからで、実はそのとき近くにあったポプラの木でも同様の現象が確認されました。被害にあっていないのに、葉に含まれるタンニンの量が増えたのです。なぜか? 考えられるのは、葉を破られたポプラの木が周囲にSOSを発して、仲間の木に「タンニンを増やして虫から身を守れ!」と伝えたのだろうということです。
■気体で交わされる会話
では、ポプラの木はどんな手段を用いて他の樹木にSOSを送ったのでしょう。現在考えられているのは、エチレンという物質です。エチレンは植物が分泌する気体のホルモンで、植物にさまざまな作用を及ぼすことで知られています。たとえば、リンゴとバナナを近くに置くと、リンゴの発するエチレンでバナナの熟成が早まります。このエチレンを空気中に発散させることで、ポプラの木は近くにいる仲間に信号を発し、メッセージを伝えたと考えられています。こういった植物間のコミュニケーションは、今やさまざまな種類の植物で確認されています。森の緑も畑の草花も、植物たちは目に見えない気体や匂いを使い、私たちの知らないところで密やかな会話を交わしているのです。
■音楽を聴く植物
音楽が植物の成育に関与していることは昔から知られていました。インドの伝承によれば、クリシュナ神は音楽を奏でさせることで、神の園の植物を繁茂させたとか。フロリダでは「音響開花(ソニックブルーム)」という農法があり、音楽と噴霧式散水を組み合わせることで、大玉のオレンジの収穫に成功しているそうです。
こういった音楽と植物の関係に科学のメスを入れたのが、フランスの物理学者ステルンナイメールです。量子力学を学んだ彼は1993年、物理学と分子生物学の観点から、タンパク質が合成されるときにアミノ酸が発する波動に着目。その波動に一致するメロディを"作曲"して、トマトに聴かせるという実験を行いました。この奇想天外な実験は見事に成功し、音楽を聴かせた菜園のトマトは通常の3倍も数が多く、実も大きく育ったそうです。植物のタンパク質が持つ波動と、音楽の波動が共鳴し、タンパク質の合成が促進されたと考えられています。この結果は以前のコラム「音楽と発酵」で紹介した、酒造や鰹節作りの過程で音楽を聴かせるという話にも通じるように思います。
■人の心にシンクロする植物
かつて実施された植物実験の中で最も奇妙なもの、それは1966年にクリーヴ・バクスター氏が行ったものではないでしょうか。CIAに勤めていた彼は、ある日ふとした気まぐれからオフィスのドナセラに嘘発見器を取り付け、いたずら心で「マッチで葉を焼いてやろう」と考えました。するとその瞬間、測定器の針がビュンと振れたのです。不思議に思ったバクスター氏は、その後さまざまな植物に嘘発見器を取り付けて調べました。すると信じがたいことに、どうやら植物は人間の感情に同調し、ショックや恐怖を共有するらしいということが分かってきたのです。
CIAを辞めて実験に没頭したバクスター氏は、植物以外にもヨーグルト菌のような微生物や、人間の白血球に電極をつないで反応を見るという実験を行いました。その結果は驚くべきもので、たとえば体内から採取した白血球の細胞は、数キロ離れたところに置いてあっても、本人の心の動きに同調し、測定器の針を動かすことが確認されたそうです。バクスター氏の実験はあまりにも突飛で、再現が困難なことから、科学の世界で日の目を見ることはありませんでした。しかし、神秘学の領域では今なお信ずる人は多く、植物愛好家の間でも関心を呼び続けているそうです。
果たして植物に心はあるのか? 答えは今もって分かりません。しかし、無口な植物にもコミュニケーションの手段があり、会話を交わしたり、音楽を聴いて成長を早めたりしていることは確かです。私たちはともすると人間的な意識だけを「心」と考えがちですが、生命にはそれぞれのレベルの「心」があり、植物や微生物、そして体の細胞ですら喜びや悲しみを感じているのかもしれません。
植物は土中で音や振動によるコミュニケーションをとっている!
植物や化学物質を発して危機を仲間に伝達したり、外敵を撃退したりしていることがわかっていますが、音や振動を発生させてのコミュニケーションをとっていることも確認されました。
その音は根から発生させていますが、土中は大気中よりも伝播性能が高いので、広域の仲間とコミュニケーションをとる事が可能です。
植物は“移動できない”という印象が強いですが、地中に根を生やすことで、“大地を通して常に仲間とつながっている”というのが、より本質的な特徴なのではないでしょうか。
こうして豊かなコミュニケーションを可能にすることで、植物は適応力を高めているのかもしれません。
◇植物は「カチッ」と根から音を出し、お互いにコミュニケーションを取っている。
引用
これまでの研究で、キャベツなどの植物は、毛虫などの捕食者の接近や、剪定ばさみで切られるなどの危険を察知した時、お互いにコミュニケーションするために揮発性化学物質(ジャスモン酸メチル)を発生し、揮発性化学物質を感じ取った近くのキャベツはその緊急メッセージを受け取った証拠に、葉に有毒物質を生産し 毛虫のような捕食生物から自分の身を守ることが判明している。
今回この研究を率いた英エクセター大学の科学者モニカ・ガリアーノ博士は、「コミュニケーション伝達方法は化学物質を発生させる以外にもあるはずだ。音にも反応しているはず。」と考え実験を開始。
ガリアーノ博士らの研究チームは、高性能な音響測定機を使用し、トウモロコシの苗木の根の部分の音の測定を行ったところ、「カチッ」というクリック音を確認することができた。また、水に浸した若い根にクリック音と同じ周波の220ヘルツの音を継続して聞かせたところ、根は音に向かって伸びることを発見した。
研究チームは、「植物が土壌を通し、クリック音を使ってコミュニケーションしていることは確実で、これは、ジャスモン酸メチルのように近づく脅威を警告している。」と結論づけた。音や振動は土の中では、大気中より伝わりやすくなっており、遠く離れた所からも干ばつのような脅威を知らせることができるのではないかと推測している。
「植物が、根で音や振動を発生させ、周囲の環境についての情報を伝達することは、植物の生存に重要な役割を果たしている」とガリアーノ博士は付け加えた。