小説を読んで、つれづれと。創作の未来を信じたい。
最近、小説を読むと、ぼんやりと考えることがあります。
放課後、一緒に遊びに行こ~だったり、
皆で飲みに行ってそこで生まれる人間模様だったり、
職場内でがやがやと仕事したり談笑したりだったり。
そういう「人と人との直接の機会」って、コロナ下においては当然激減していて。
それが当たり前に出来ていた頃の物語は、もちろん読んでいて面白いけど、
「今はこれは出来ないなあ」という一種の少し切ないフィルターがかかってしまう、、こともある。
「今」の世界観で生きる人々が描かれたものが早く読みたい。
オンライン下でも何かが生まれている瞬間の物語が、読みたい。
『コロナと潜水艦』は、本屋さんでタイトルを見て、そういう気持ちを満たしてくれるといいな、と思って、買った。
短編集で登場人物が「家族」だったので、想像していたよりは「コロナ下モード」は薄かったけれど。
それでも、「今」の瞬間を描いてくれている小説、は、私は嬉しかった。
私は、たぶん、今の状況が「なかったこと」「一回おやすみ」ではなくて、今は、今、としてちゃんと「存在している」ことを、物語を通じても実感したいんだと思う。
言葉は悪いけれど、「落ち着いたら~~しようね」が溢れかえる世界に飽き飽きしているんだと思う。
そこにある無邪気な「きっと元に戻るよね」な世界観、それは、「いま」をないがしろにしている気がして・・・なんか素直に飲み込めない。
未来を見ずに過去を見ているように思えてしまう。
(もちろん悪気あって言ってるわけではなく、気をつかって言ってくれてることも多いだろうし、そうは言ってもそう考えざるを得ない環境に置かれてしまっている人には本当に申し訳ないのだけど)
そんな簡単に元には戻らない。
悲観的かもしれないけれど、私はなんとなくそう思っていて。
でも、別に、今が不幸だとは微塵も思っていなくて。
今だって、人々はちゃんと生きてるし、幸せなことだってたくさんあるはずだし、過去ばかりにとらわれていない人だっていっぱいいる。
だから、そういう「今」の物語を、たくさん読みたい、今はそう思う。
翻って『熱帯』。
これも最近買って読んで。こっちはコロナの世界線より前のお話で。
でも、あまり違和感無く読めた。
ファンタジーに近いから、だと思うんだけど。
「これなら別に、今、でも読めるなあ」と感じた。
(面白くてぐいぐい読んじゃったし)
世の中が変わってしまった「制約」はあっても、物語には可能性がたくさんあって、
空想の世界を織り交ぜることによって描ける世界はたくさんあるんだなあ・・・
そんな希望を感じた。
今まではどちらかというと、ファンタジーものよりもリアルもののほうが好きだったけど、
どっちも好きになった。
作家さんたちが今、どんな風に何を思って過ごしているのかは当然分からないし、そんなもの、人それぞれだと思うけど。
物語が人に与える力はどんな社会であっても生き続けるのだと思うし、
この激変している世界の中をたくましく生きる話があったら読みたいな、
そういう本も増えていくといいな、、そんな身勝手なことを考える、今日この頃です。
(今ももちろんあると思うので、よかったらご教示ください)