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古本屋ブックスパーチ | 鹿児島の古書店 | 古本の買取承ります

営業予定+今週の1冊

2021.09.13 08:20

【営業予定】


9/13(月)12時〜18時営業

9/14(火)12時〜18時営業

9/15(水)12時〜18時営業 ※定休日ですが営業します。

9/16(木)定休日

9/17(金)12時〜18時営業

9/18(土)12時〜18時営業 ※20時30分からオンラインで「映画『ドライブ・マイ・カー』を語る会」開催予定。

9/19(日)12時〜18時営業



【今週の1冊】


『言葉をもみほぐす』赤坂憲雄 藤原辰史/写真=新井卓(岩波書店) ※9/13(月)新刊本で在庫有り

本書は民俗学者・赤坂憲雄と歴史学者・藤原辰史の往復書簡によって構成されている。

人の生の声に耳を傾けてきた赤坂さんと歴史的テクストに向き合い続ける藤原さん。

二人は手紙のやりとりをする上で事前にテーマを決めていない。

お互いの溢れでた言葉を拾いながら、自分の考えや思いを新たに言葉に紡いで相手へと投げかけている。

現代社会への危惧を感じ、言葉に現実を変える力なんてないのではないかとすら考えてしまいそうな今、私たちは「言葉」とどう向き合えばいいだろうか?という藤原さんから赤坂さんへの問いかけが往復書簡の底に通貫している。

個人的には赤坂さんの最後の手紙が非常に心に残った。

藤原さんの最後の手紙への応答なのだが、

他者の言葉に真剣に向き合うというのはこういうことかと感じ入った。

言葉に向き合うこと、そして言葉を紡ぐことに終わりはないのだと思う。

言葉の力を信じるとはこの終わりのなさと付き合い続けることでもあるのだろう。

社会の未来に向けての具体的な解決策や取り組みを提示しているわけではないが、

言葉や物事、そして他者に向き合う際にどのようなスタンスを取ればいいのかを考えるヒントになるものが書かれていると思う。

日々の出来事や時事的な事柄、ふと思い出した過去の物事などが入り混じった文章それ自体も味わい深くて楽しめる本だが、自分の思考や感性が凝り固まっているなと思った時にもおすすめしたい1冊。



【関連しておすすめしたい本】


・『人文的、あまりに人文的 古代ローマからマルチバースまで ブックガイド20講+α』山本貴光 吉川浩満(本の雑誌社) ※9/13(月)新刊本で在庫有り

→古典から最新のものまで対談形式で人文書を紹介するブックガイド。

どういう内容の本なのか基礎的なところから説明していて初心者にとっても分かりやすいのと、そうした内容を踏まえたら今後どのような議論が可能になるのかという話もなされていて非常に面白い。

絶対的な正しさがあるのではなく、常にその積み重ねの上で議論を行おうと試みるのが人文書(学)の魅力だと思う。

人文書に興味はあるけどどこから手をつけていいか分からないという方に特におすすめしたい。


・『装幀の余白から』菊地信義(白水社) ※9/13(月)新刊本で在庫有り

→装幀家・菊地信義のエッセイ集。

菊地信義さん出演のドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』を鑑賞した時に、優れた作り手はやはり優れた読み手でもあるのだなと思ったが、優れた書き手でもあることがわかる。

文字や言葉の世界からどのような装幀を作り出そうとするのかその一端にも触れられる1冊。