恐怖政治12-革命に協力した音楽家ゴセック
2021.09.14 08:28
「最高存在の祭典」の美術プロデュースはダヴィッドだったが、音楽監督は「フランス交響楽の父」と呼ばれて、皆が知ってる「ガヴォット」も作曲したフランソワ=ジョセフ・ゴセックである。祭典では2500人の合唱団と100人のオーケストラが「最高存在の賛歌」や「ラ・マルセイエーズ」を歌ったらしい。
彼は1734年生まれのアンシャンレジームの人間であり、モーツァルトやハイドンとも交流があった。だが革命の理念に共感して、軍楽隊も養成し、あのフランス軍攻勢の転機となった「ヴァルミーの戦い」のオペラも作っている。ここでも自由の女神が舞い降りてくるシーンがあるようだ。
革命政府は、ブルボン朝の音楽アカデミーを国家のものとして、パリ高等国立音楽院をつくる、これが現在でもある「コンセルヴァトワール」の起源で、彼は初代校長になった。ベルリオーズやグノー、サンサーンスなどフランスの名だたる音楽家はここを出ている。
ゴセックは、ナポレオン時代にも、レジオンドヌール勲章を受けるなど、音楽界の重鎮として活躍し、管楽器が活躍するフランス音楽の基礎をつくり、大規模で劇的な音楽でロマン派に影響を与えた。しかし王政復古すると、今度はウィーンに行っていたケルビーニが重用される。