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Pink Rebooorn Story

第4章 その6:「しこりの変化」

2017.03.12 12:23




 AC療法2回目の投与日(2015年6月30日)も実家に戻った。

 さっそくムカムカや手足のしびれが始まり、食欲どころではない。




 焦らずに、粛々といこう。




 初回のときに体験済みの症状ばかりとはいえ、やっぱりつらい。

 今回もあれが容赦なく覆いかぶさってくる。地球上のすべての重力が自分にのしかかっているような「ズーーーン」。これに耐えているときが、いちばんきつかった。




 文字通り私は、どこかの底にいるみたいだった。




 その底に閉じ込められている数日間は、生きることで精いっぱいだ。いつもならテレビやネットから普通に流れてくる情報も届かない。ただひたすら、孤独にその症状を耐えるしかなかった。

 5~6日かけて底にたどり着くと、7日目からようやく這い上がる気力が出てくる。このときから食欲も回復してくる。1クール目のときを思い出しながら、無理せずその波に合わせた過ごし方をする。




 肝心のしこりはというと、絶対的な確信はないものの…

 ちょっとさわった感じでは、小さくなっている気がする!




 慢性的な痛みがなくなったわけではないし、まだAC療法の前半なので、ただの気のせいかもしれない。結果が出ていなかったら後でショックが大きいから、誰にも言わないことにしていた。

 でも…期待してしまう。ちょっと、うれしかった。




 しこりの痛みにも変化を感じた。AC療法開始前は、針を突き刺すような、ズキズキした攻撃的な痛み。それがだんだん、じわーっと染みわたるような痛みに。

「今まで私をただ攻撃していた患部の痛みでしかなかったものが、今度は、患部をやっつけている痛みに変わっている。」私はそんなふうに考えた。




 ときどき患部をさわりながら、がんが消えていく様子をイメージした。

 私の体の中にあるがん細胞がどんどん消滅していき、最後にはすべてなくなる…。




 弱虫の私には、今「絶対そうなる!」とは思えなかったけれど、一歩ずつ、一歩ずつ、何かに向かって進んでいることは確かだった。