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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

恐怖政治14-またも寝返ったフーシェ

2021.09.16 09:25

実は政治のカメレオンたるフーシェも、反ロベスピエールの一員だった。彼は1794年4月、公安委員会からの出頭令状を受け取った。容疑はリヨンでの弾圧の際、私腹を肥やしたということである。彼は、議員として公安委員会へは出頭せず、国民公会で直接議員に弁明して虎口を脱した。

しかしこのときから、フーシェはロベスピエールの敵となり、同じくリヨンに行ったコロー・デルボアや、ナポレオンのトゥーロン制圧を監督し、やはり汚職をしたと告発されていたポール・バラスなどと組むことにした。ジャコバンクラブを舞台として根回しをしていたのだ。

実はフーシェは議員になる前に、アラスでロベスピエールと会い、彼の妹シャルロッテと交際していたという昵懇の仲だったのだ。そして5月、フーシェはジャコバンクラブ会長となり、ロベスピエールと論戦するが、それに負け、ジャコバンクラブを追放された。

もはやフーシェらの方法は、ロベスピエールを葬るしかない。フーシェは暗躍し「二週間以内にロベスピエールを倒さないとあなたが危ない」という手紙を書いたり、話したりしていたようだ。7月27日、「テルミドール9日のクーデター」で、国民公会の議長となっていたのは、コロー・デルボアだった。