[2017. 2. 13]UNDP・Louay氏による発表の要旨「シリア危機、医療面での対応、外傷及びそれに起因する障害」
2017.03.13 15:21
2017年2月11日に東京にて実施されたシンポジウム「シリア危機への実効的アプローチに向けて」において、UNICEF中東・北アフリカ地域事務所の緊急事態専門官であるラウィヤ氏の発表の要旨を公開します。
(*シンポジウムの報告についてはこちら)
シリア危機、医療面での対応、外傷及びそれに起因する障害
ルアイ・ファルーフ
現下の戦争に起因する外傷とその結果としての機能障害および(社会)障害は障害を持つ人の割合が危機発生以降27%も増加するなか、人道的な対応が必要とされている優先事項だと指摘されている(Humanitarian Need Overview 2016)。
国連が典拠としてきた死者数に関するデータによると、2015年末の死者数は25万人に上っていた(HNO 2016)。しかし現在では、複数の報告において、戦闘による犠牲者の数が47万人以上にのぼっていると推計されている。また、負傷者の数は1,900万人にのぼり、うち約30%が生涯にわたって障害を負うとされる。
負傷者が機能障害、そして機能障害に至る過程は、医療サービスが悪化するなかで急速に進行する。また、公共の医療機関の30%が完全に利用不能となっており、加えてリハビリテーションを行うための環境も未整備である(HeRams 3rd Quarter 2016)。
リハビリテーションを受けられない障害を持つ人たちは、日常の生活において完全に家族に依存している。これにより、社会成員の大部分が社会・経済活動への参加から排除されてしまっている。これは、から大きな割合が将来排除されることで起こる潜在的な社会経済的問題であり、また、早期の社会・経済的復興や開発に向けた動きに悪影響を及ぼす隠れた障害とみなすことができる。