食べ物への直感
食を大切にする人は、食べ物への直感も優れているのだと、最近よく思います。
もしかしたら、「優れている」というよりそれが「当たり前」で、直感を働かせようとしないことの方が「劣っている」のかもしれません。
私が、有機作物や自然食、ビーガンに興味を持ちだしてから出会ってきた、食にかかわる専門家の方々がいうことはみんな
「感覚で」とか「五感で」という言葉を使われます。
例えば、お料理教室やお菓子教室なら、大さじ、小さじ、何グラム、火加減、水加減、何分間・・・そういったことは全然重要ではなく、「感覚で」ということをみなさん伝えられます。
食材は、同じ種類のものでも個体によって色形大きさはもちろん、水分量、糖度、なども違う。
だから、一概に大さじ何杯とか言いきれないし、何分間加熱するとも言い切れない。
目で見て、臭いを嗅いで、味見をして、音を聞いて、手で触れて、五感で感じながら作れば美味しくなる。
それって当たり前のことだけど、それを伝えなければいけないほど、数字に捉われてしまって五感が劣ってきているということ。
自然食に精通する企業の方さえも、
食材を大切にいただくには、自分で見極める「感覚」も必要だといいます。
つまり、表示された期限に頼るがあまり、自分の五感で確かめて「おいしい」と感じとる力が、私たち消費者は劣ってきているというのです。
たしかに、畑の野菜に期限が記されて育ってくることはないのに、ひとたびパック詰めされると、そこには期限がつき、消費者はそれを食べる食べないの判断にしているから、食品廃棄量も増える一方ですよね。
その方は「企業が責任を負いすぎて、消費者を弱くした(感覚を衰えさせた)」とも。
「何かあったらいけない」と防衛のために期限をつける企業と
「何かあったら責任とってよ」と期限を求める消費者。
なんだかお互い責任転嫁で、寂しい関係性ですよね。
環境に配慮して安全な食を作る生産者と
その良さやおいしさを自信をもって提供してくれる企業やお店と
感謝をもって、最後までおいしく食べる工夫や努力をする消費者。
そんな関係性が、心もお腹も満たす豊かな連鎖につながるのではないかと思います。
自然界の動物はみんな、口にする前に「嗅ぐ」そうです。
確かに、クンクンしてますよね。
あれは、ただ「美味しそうだな」と嗅いでいるのではなく、臭いで食べれるか食べれないかを判断しているそう。
ところが、最近のペット事情では、環境が安全すぎて、動物の本能も発揮しないまま口にしちゃう子もいるのだとか。
そこにはやっぱり、人間が期限をみて与えてるから・・・というのがあるのでしょうね。
安全ボケ。
人も然りです。
食に困らない豊かな国の人ほど、衰えているであろう「直観力」「五感で感じる力」。
子どもたちにもちゃんと、備えていてほしいですよね。