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Baby教室シオ

絵本『ぼくはクロード・モネ』

2021.11.07 00:00

私が一目置く大好きなキュレーター林綾野さんの作品です。

世界的に名の通っているモネの生涯をとても読みやすい文章と水彩画で描かれています。モネの作品を知っているというお子さん向けに、モネの画家人生を紐解く絵本としてお薦めしています。絵画に興味のなかった親御さんが取っ掛かりとして読むには敷居が高くないのでお薦めです。

クロード・モネはフランスの印象派の中でも生涯を通して描き続けることができた幸せな画家だったと思います。酷評に酷評を受けても、貧しさの中にあっても、病に冒されても筆を折ることはなく、ひとつのことを生涯続けるということは並大抵のことではありません。

また彼の作品を通して日本の伝統的絵画である浮世絵や日本庭園、日本の植物の素晴らしさを再認識することができると同時に、子供達には日本文化の素晴らしさを教えることができます。留学中フランス人の友人が浮世絵のTシャツを好んで着ており、モネの浮世絵に対する熱き思いを語り尽くす様子を見て、自分自身の浮世絵に対する知識の希薄さに恥かしさを覚え、自分の世界の狭さを感じたものです。子供達には自国の文化や伝統を自発的に発信する人として成長してほしいと願っています。

モネの絵画には時間経過を風景や建築物の絵画を通して知ることができる特徴があります。刻々と移り変わる時間の経過を観察することは子供にとっては難しいことですが、絵画を通してなら僅か数秒で目で確認することができます。子供の絵画には太陽はつきものですが、モネの作品にはその太陽自体は描かれていません。しかし日の当たり方や影で太陽の動きを確認できます。そうモネの作品を通し光と影の出来方の思考を深めることもできるのです。

水彩画で描かれたこの作品はモネの絵画が難しいと感じる場合や絵画鑑賞に慣れていない人が読んでも柔らかな印象の表現が絵と文章で展開され親しむことができると思います。また巻末には実際のモネの作品が掲載され水彩画と照らし合わせて楽しむことができます。これもこの絵本の特徴であり、キュリエーター林綾野さんの配慮のように思えるのです。

是非とも人生を豊かなものにする一つの感性をこの絵本を通して身に付けるきっかけになればと思います。