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摂動論について8枚のスライドでまとめてみたら

2017.03.18 03:57

 たくさんの粒子に相互作用が働いている場合について考えるのは大変です。なので、相互作用が小さい場合には、相互作用のない状態から摂動として相互作用を取り入れるということをします。今回は、摂動論についてお話します。


 物質は余計なことをしなければエネルギーの低い状態をとるので、一番エネルギーの低い状態、つまり基底状態について考えます。この時、射影演算子を使います。例えば、何か2次元のベクトルがあった時に、横にいくら、縦にいくらの位置を表すベクトルだと、横と縦に分けて考えると分かりやすいです。これが射影です。言い方を変えれば、2次元ベクトルを横と縦に射影することで分かりやすくなるということです。今は、基底状態とそれ以外に射影しています。

 射影演算子を使うことで、基底状態のエネルギーについて見やすい形で書き表すことができました。ここで、行列の中の基底状態に射影した部分について考えれば良いことになります。


 摂動展開により、相互作用がある時のグリーン関数を、相互作用が無い時のグリーン関数で表せます。グリーン関数は、粒子の伝播を表す関数です。

 摂動展開の最初の方の項を拾うことで、摂動を計算できます。二次摂動は、遷移確率のようなものをエネルギー差で割った式になっています。


 相互作用のない時の時間依存性を演算子に移したような表示を、相互作用表示と言います。

 次に、時間発展演算子を導入し、残った状態関数の時間依存性を時間発展演算子に移します。


 時間発展演算子は、時間順序積を導入することで見やすくなります。状態に時間の順序に従って演算子が作用することになるので、物理的なイメージがつきやすくなります。

 遷移確率を計算する際、時間発展演算子が遷移演算子として働きます。これをもとに単色摂動における単位時間当たりの遷移確率を計算したものはフェルミの黄金則と呼ばれ、適応範囲の広さはまさにゴールデンルールです。


 摂動論は、複雑な相互作用の効果を概算する際に威力を発揮します。もちろん、収束するまで計算すれば概算ではなくなります。私は、複雑な相互作用を計算できるようになって、ようやく物理が始まった気がしました。