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Me and Songs

エリック・マーティン (Mr.Big) #2 ポールとの関係 / Mr.Bigの未来

2021.09.22 08:45

Mr.Big やAvantasia の活動で知られるエリック・マーティンのインタビュー訳Pt.2!


この数週間で結構な数のインタビューをこなしているエリック。


今回お届けするのは、Appetite For Distortion さんによるインタビューです。



今回のテーマは「女性ファン」「パットの存在」「ポールとの関係」「Mr.Bigの未来」です。


I: インタビュアー

E: エリック



女性ファンのリアクション


37:10


E: 僕は高校生の頃ヘヴィーメタルバンドに所属していたんだけど、そのバンドの名前は Fire Beast だった。いかにもだろ?(笑)


I: いいですね、僕は好きですよ(笑)


E: あの “To Be With You” を書いたのが元Fire Beast のシンガー!?マジかよ?って感じだろ?(笑)



えーっと、それで…キミの質問は何だったっけ??


確か、「“To Be With You” のせいでああいうタイプのバンドとして先入観を持たれていたのでは?」的な話だったと思うけど…


これがキミの質問に対する全うな答えになるかはわからないけど、当時の僕らは男性からの支持が圧倒的だった。


彼らは時々姉妹とかを連れてきたりしてたけど、それでもほとんどは、ポールやビリーの足元(エフェクター)や指板の上を高速で動く彼ら二人の指に釘付けの野郎ばかりだった(笑)



その後、”To Be With You” や ”Just Take My Heart” のような曲がチャートの上位で認知され始めると、女の子達も僕らのショーに来てくれるようになった。


でも、Mr.Bigと言えば “Addicted To That Rush” とか、ビリーがデヴィッド・リー・ロスのバンドの時に書いた “Shy Boy” とかをプレイしてただろ?


ステージで歌いながら女の子達の顔が見えてたんだけど、もう「な、何これ!?」ってショックを受けた表情をしててさ(笑)



彼女達は “To Be ~” みたいな曲をもっと期待してたんだろうな(笑)


でも、僕らはあの曲のヒットが原因でそういったバラードバンドみたいに思われた、とは思わないけどね。



Mr.Big の将来について


42:10


I: この質問を訊かないわけにはいかないのですが、もし答えたくなければどうぞパスしてください。


The Rolling Stones は先日チャーリー・ワッツを失いましたが、バンドはツアーを続けると発表しました。


(ダスティ・ヒルを失った)ZZ Top もしかりです。



パット・トーピー亡き今、Mr.Big の将来について何かビジョンはあるんでしょうか?


E: そうだね、この質問はパスしたくないし、ちゃんと答えたいと思う。


彼が亡くなった当時、僕は深い悲しみの中にいたし、気持ちも整理できていなかったし、もっとあのバンドでプレイしたいと思っていた。


(パットとの最後のツアーが始まった時)彼はパーキンソン病と他にも健康面で問題を抱えていてね、すごく落ち込んでいた。



「オレは家で大人しくしてるよ」って彼は言ったんだけど、僕らは「いいや、キミは僕らと一緒にツアーに出なきゃ」と言って連れ出し、一緒にプレイし続けることにした。


僕はバンドがこれを実現出来て良かった、と今でも思うんだ。


メインのヘヴィーなドラムプレイはエース・フレーリーのバンドで叩いていたマット・スターが務め、パットはパーカッションとバッキングボーカルを担当した。


パットの歌声は僕にとって第二のハーモニーで、そこにビリーの高いパート、ポールの低いパートが加わるんだ。



こうして4人が揃っているということは、僕ら残りの3人の気持ち的にも大事だった。僕らの方も「兄弟」には一緒にロードに出て欲しかったからね。


この形式で僕らは数年間ツアーを周り、彼は当初6曲でドラムもプレイした。


残念ながら時間が経つにつれ彼の症状は悪化してしまったんだけど、彼は頑張って数曲を一緒にプレイし続けてくれた。


でもそれからしばらくした頃、彼は亡くなってしまった。



僕らにはまだツアーの契約があり、彼が亡くなった4~5ヶ月後にExtreme とオーストラリアを周り、残っていたヨーロッパでのフェスもこなした。


全くもって現実感が無かったよ、振り返った時に「兄弟」がいないってのはさ。人の死を弔いながら前に進むというのはほんとにキツいことだよ。


僕はその頃に受けたインタビューでも気持ちの整理がついていなくて、あるインタビューでは「Mr.Bigはもう終わりだ。パット抜きでこのバンドを続けるつもりはない」と言ったかと思えば、他のインタビューでは「パットへのトリビュートとしてもう一枚作りたい」と言ったり…。


そんな感じで頭がとっ散らかっていたんだ。



多分、あのヨーロッパでの公演以来、僕らはMr.Big としてのショーはやっていないはずだけど、ライブ作品等の企画盤はいくつか出したよ。


ビリーとは大体月一回話してるし、パットの奥さんとも連絡は取っているけど、ポールとはこの数年話していないかな。


僕はたくさんのプロジェクトに関わって、様々なミュージシャンと色んなアレンジでMr.Bigの曲をプレイしてきたけど、やっぱり本家であるバンドでビリー、ポールと一緒にプレイするのが大好きだし、それで聴いてくれる人をハッピーにしたいんだよ。



ポールと連絡を取っていない理由


48:50 


I: この質問も無理に答えて頂く必要はありませんが、ポールと長い間連絡を取っていないのには何か理由があるのでしょうか?



E: んー、特に理由は無いし…わからないな。そりゃメールぐらいはしたことあるけど。


単純に、連絡を取っていないことが悪いことだとは思わないし。


彼はソロアルバムを作り、僕は自分の活動をやり…そうしている間に連絡しなくなった、ってだけかな。


それ以外に特に理由はないよ。


I: なるほど、わかりました。



E: (特定の人と連絡を取らなくなったり)、人生にはそういうことってあるだろ?


(*ここでポールの最新作のアルバムタイトルが面白いとか、MVが良かったという話も出ているので、別に仲が悪いということではなさそうです)


E: 別にメンバー間で敵意があるとかいう訳じゃないんだ、僕が知る限りではね。


ただ、パットは僕らのバンド(のコミュニケーション)において非常に重要な存在だったし…



家族・親戚でも同じ


51:00


キミのご両親はまだご存命かい?


I: ええ、母の方は。父はもう亡くなりましたが。



E: うちの家族の場合、母が生きていた頃は兄弟・姉妹・甥っ子も姪っ子も、皆彼女の家に集まったものさ。特に大晦日と独立記念日にはね。


でも、彼女が亡くなった後は、お互い全然会わなくなってしまった。


それぞれが歳を取り、それぞれに人生があって色々なことが起こり…僕らはそれ以前のような「コミュニケーションを取る努力」を止めてしまったんだ。


パットがまだ生きていた頃、僕らには「パットをツアーに連れ出す」というミッションがあった。



いつか彼が僕らと一緒にプレイできなくなることはわかっていたけど、まさか彼が亡くなるとは思わなかった。


そしていざ彼が亡くなってみると、そのことが「僕らの航海から風を奪ってしまった」んだ。


それで無意識的に…いや、無意識ではないのかもしれないけど、お互いに距離を取るようになってしまった感じかな。


(*正直、この家族・親戚の集まりへの例えはめちゃくちゃ腑に落ちました…)


パットの奥さん・カレンとはよく電話で話すし、数か月に一度はパットのことを思い出しながら長々と話しちゃうんだけど、彼女から訊かれるんだよ、「Mr.Big で何か活動しないのか?」って。



彼女からそう言われるのは僕にとっては変な感じだよ…


この表現が正しいかどうかはわからないけど、僕はMr.Big というバンドの中で「チアリーダー」なんだよ、ポールとビリーがチームでさ。


彼らが練習に来ないと、僕は誰を応援してるの?って話になっちゃうんだ。


ところが、皆は僕に訊いてくるわけさ、「Mr.Big はもうやらないの?」って。


でも、僕にはわからないし、僕にその権限があるわけじゃない。もちろん、また活動出来れば良いとは願っているよ。



終/