取材執筆|九州大学大学院芸術工学研究院 西田紘子 准教授(稲盛財団3S研究者探訪)
2021.09.21 23:52
いつも理系の研究の取材が多いですが、「音楽学」の取材をさせてもらいました!実験をする理系の研究と違って、文献や資料を読み解いていく文系の研究の方法論は、小説を書く過程に途中まで似ている気がしました。小説は集めた事実から想像力を使って物語をつむぐけれど、研究は論理を使って世界を築き上げていく。
楽曲がどのように成り立っているか、どう解釈するか、作曲家が何を表現したかったのか、それらを読み解く理論とその理論を考えた人はどんな思想をもっていたのか。1つの曲にドラマが詰まっている。
音楽は演奏されて初めてこの世にあらわれる。遠い昔に亡くなった作曲家と、楽譜を通して演奏家はコミュニケーションをする。演奏家同士もコミュニケーションが必要だ。わたしたちのもとに届けられる演奏は、その解釈とコミュニケーションの結果生まれたものなんだなと思ったら、生演奏というものがいっそういとおしくなった。
芸術と社会のつながりを可視化する「音楽学」の力
─ 「音楽は一つの有機体である」と考えた哲学者の思想を探る ─
音楽は誰にでも届く。言葉がわからなくても。国境も時代も超える。本能的なところに響いていく。生物としての人間にも、社会にも影響を及ぼすことができる。西田先生に音楽とは何かと聞いてみたら「空気や水のように当たり前にある大事なもの」と答えてくれた。
この取材を通して、音楽ってもっと面白いって気づけて、わたしの世界がまた広がった。音楽も面白いけど、研究って面白いな。ぜひ、記事も読んでみてください。