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徒然なるままに

癒しのハーモニカと初老の挑戦

2017.03.20 00:23

       ポピュラーな複音ハーモニカ


ハーモニカを最初に手にしたのがいつだったかは覚えていない。小学校に入学した頃には、五分刈りの丸坊主に鼻垂れながら、歌を歌うように馴染みの曲なら何でも吹けたのを覚えているので、それより前だったことは確かである。子供の頃、小遣いをもらうという習慣がなかったので、唯一の収入源であったお年玉をもらうと、トンボやミヤタの複音ハーモニカを買うのが楽しみだった。買ったときの感動は、いまでも新鮮な思い出として残っている。今では数千円もするような複音ハーモニカを、350円で買ったのを覚えている。とはいえ、高価な買い物だった。

やがて故郷の鹿児島から東京に出て、社会の荒波にのみ込まれながら、くじけそうになったとき、故郷が恋しくなったとき、孤独に苛まされていたとき、疲れた心を癒してくれたのがハーモニカだった。とくに、“ 故郷(高野辰之作詞・岡野貞一作曲)”はよく吹いた。ハーモニカの郷愁を呼ぶ奥深い音色によく合う。


            兎追いし かの山

            小鮒釣りし かの川

            夢は今も めぐりて、

            忘れがたき 故郷


            如何に在ます 父母

            恙なしや 友がき

            雨に風に つけても

            思い出ずる 故郷

 

            志を はたして

            いつの日にか 帰らん

            山は青き 故郷

            水は清き 故郷


この唱歌は、まさに私の人生の歩み、そして故郷への思いそのものである。


  故郷、鹿児島県南大隅町から遠くに錦江湾を挟んで開聞岳(薩摩富士)を望む


しかし、ハ長調以外の曲を吹こうとすると、 “アレッ”と首を傾げながら、車がエンストでも起こすように調子が合わせることが難しく、いっこうに前に進まない。馴れ親しんだ調子の曲以外は、外国語と同じで歯が立たない。複音ハーモニカ1つでは、半音階を含む曲は吹けないのだ。しかも、誰でも吹けるありふれた楽器のため、自己陶酔しながら夢中で吹いていると周りにはうるさがられてしまう。60年のキャリアの自惚れに気付いたのは、じっくりと人生を振り返る余裕を持てるようになった定年後だった。気付くのが遅すぎた。ゆとりのない、苦労の多いあくせく人生を歩んできたせいだろう。

“気付き”から進歩は始まる。そこでポピュラーからクラシック、ジャズまでほとんどの曲を吹けるという、クロマチックハーモニカを購入した。しかし買ったはよいが、これが難しくて、半世紀以上も慣れ親しんだ音感のみでは全く通用しない。まずは、“基礎からしっかり始めよう”、ということでCD付の教本(崎元譲 クロマチック・ハーモニカ・メソード)を購入した。譜面を読みがら吹くのはこれが生まれて初めてである。譜面に調子を合わせるのに四苦八苦しているところに、老眼のため譜面が霞んで良く見えない。たどたどしく1曲でも吹くとヘトヘトになってしまう。


      プロがよく使うクロマチックハーモニカ


本格的な練習開始から3カ月が過ぎたいまでは、“The Entertainer”や“白鳥”といったやさしいクラシックもある程度吹けるようになってきた。日々進歩を実感できるので楽しくてたまらない。3、4時間の練習がアッと間に過ぎてしまう。セミプロのレベルになるのが夢である。ハーモニカは、まさに人生の友であり生き甲斐のひとつである。


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クロマチックハーモニカに本格的に挑戦しようと思ったきっかけは、“南里沙“の存在を知ったこと(出会い)だった。天才的な演奏はもとより、娘のような年頃の、若く美しい女性であるのもいい。心のひだを揺さぶられるように、哀愁漂う奥深い音色に思わず涙が込みあがってくる。

以下に南里沙のサイトを紹介しますので、ぜひ一曲でも聴いてみて下さい。

1.クロマチックハーモニカ 南里沙 オフィシャルサイト

2.魅惑のハーモニカ 南里沙(YouTube)


ついでに、”徳永延生”の演奏も紹介します。

一味違う老練の奥深いハーモニカの音色に全身がしびれる。

 クロマチックハーモニカ 徳永延生