Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

機関精神史 公式ホームページ

學魔書庫訪問記——本塊魔道篇➋

2021.09.24 11:57

重度のブック・ジャンキーの皆さまお待たせしました。

前回掲載の學魔書庫訪問記の続編「本塊魔道篇」の公開です!


本棚に天国的様相で収まった本ばかり前回は取り上げましたが、今回は床に積み上げられた本塊の地獄的様相にまなざしを向けて見ましょう。ていうか総量的にはこっちの方が多いのに加え、ほぼ100%洋書なので上級者向けですヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ


まあ學魔ラヴァ―の猛者の皆さんに下手な前置き不要ですね。さっそくブツをみていきましょう。部屋に入ってまずはデデーンと飛び込んでくるブロックから。右から二番目の山にはChristopher BlandとLinda Kellyの二人が編纂した『Feasts(饗宴)』というアンソロジーがあって気になります。『グレートギャツビー』のデカダンなパーティーシーンを熱力学第二法則で読み解いた學魔節は、こうした本から得られたものかもしれません。下の方の図書館ラベルの貼られた本には『Bolshevik Festivals 1917-1920』なんてのもあります。祭り大好きな學魔。わっしょいわっしょい(/・ω・)/


左から二番目の山にはアメリカン・ルネッサンス関連の研究書の山……と思ってみてましたが、写真じっくり見ると『スフィンクスの解読——19世紀文学における古代エジプト』という學魔ファンにはおなじみの『アメリカン・ヒエログリフィックス』的な本が!! 他にも『Writing Trickster』、『アメリカン・ガーゴイル——フラナリー・オコナーと中世グロテスク』、『Imagining Niagara: The Meaning and making of Niagara Falls』とかウッヒョーな宝の山。気づいたらゴッソリ持ってったでしょう…(´・ω・`)

右隣の本山脈に目を移すとどうでしょう?
分厚いオスカー・ワイルド本が一番上にのっかた山には、『スタンザ、我が石——ウォレス・スティーヴンズとヘルメス的伝統』というとんでもないタイトルの本が(學魔がアメリカ文学を読むとヨーロッパ神秘主義色が濃厚になる…!)。詳細不明ですが下の方にある『in the driver's seat(運転席で)』って何の本でしょう??

右のバカ高い山には、Millenson『Sir John Soane's Museum』! そしてその下にはパトリシア・パーカー『文学的肥満女』なるレアグルーブ的一冊が。肥満大国アメリカを診察したサンダー・ギルマンのデブ研究書の女性版でしょうか。『Cruel Delight: Enlightenment Culture and the Inhuman』なんて本もサブライム・ピクチャレスク文化圏として気になります。そしてジョージ・ランドウの『危機のイメージ』を取り損ねたのはいまだに痛恨のミス。『ふたつの世紀末』で読み知って以来、ずっと気になってました( ;∀;) その下の下には『マダム・ボヴァリー・ブルース——19世紀フランス小説におけるイリュージョンの追求』という衝撃タイトルが…!!

入り口ゾーンはまだまだ続きます。

右の山、めぼしい本のタイトルとしては『ナボコフの記憶術とヨーロッパ・モダニズム』でしょうか。


左の山、Lichtenstein『The eloquence of Color』が欲しかったのですが図書館ラベル付きで断念。『アリス狩り』に學魔が書き下ろしたトマス・ラヴ・ピーコック論がありますが、そのピーコック論に影響を与えたであろう『His Fine Wit』という本も気になる。凝視 (☆。☆) キラーン!! 『The Artist as Critic: Bitextuality in Fin-De-Siecle illustrated books』もめっちゃ読みたい。(バイセクシャルならぬバイテクスチュアルなんて言い方あるのね)。


手前の山、拡大して見えると思うので各自じっくりご覧くださいませ(省エネ)。

良い本だらけで、いっこうに入り口から先に進みません(笑)。
このちっこい山を紹介して最後にしましょう。學魔鍾愛のモース・ペッカムによる『ロマン派の勝利』、ほかには『文学的饗宴』、メイヤー『ヨーロッパ文学にける引用の詩学』とか、やっぱもらえばよかったな。後悔先に立たず。


入り口ゾーンのおまけに「造形的地口」(ピエール・アレシンスキー)をひとつ。

學魔が『目の中の劇場』で言及してて死ぬほどかっこよかったレイモンド・リスターのウィリアム・ブレイク論『深淵なる方法』を発見&確保したのですが、なんか知らん本が表紙絵まったく一緒でした。この双子写真(?)を撮るために、リスター本を置き忘れてしまいました。へまやっちまった(ლ ^ิ౪^ิ)


さて、入口あれば出口あり。學魔書庫には扉が二つ付いていて、次はもう一方の扉近辺に山積みされた本をじっくりお見せしましょう。


しかしこのコーナー、トラップなのか何なのか、本を取ると上の板が落下するような作りになっておりました…! 柱として利用されるハイレベルな書物たち。唯物論ブルースの一曲でも弾き語りしたくなります。

柱の上の板きれには(學魔好みの?)セクシー姉ちゃんのイラストがあって、解体するのもしのばれ、そっとしておきました ( ̄- ̄)

何はともあれブツを拝みましょう。『第二の自己としての文学』、(ローズマリー・ジャクスン『幻想文学』翻訳あいなった今こそって感じの)キャサリン・ヒューム『ファンタジーとミメーシス』とか気になりましたが、トラップだから指くわえて見るしかない(笑)。いっちゃん上のコーエン『モンスター・セオリー』は風間賢二暗黒美学大師のネタ本だったかと記憶します。

さてその下は? 學魔鍾愛というか『メデューサの知』でフル活用されたジョシポヴィッチの『書くことと肉体』の原書発見。ロバート・ダーントン『詩と警察』、ピーター・スミス『真実の戦争』なんてのも読んでみたいなあ…(遠い目)

さてその下は? 年季の入ったMahood『シェイクスピアの言語遊戯』、『天国のブラッドハウンド——ゴドウィンからドイルに至る英国フィクションにおける探偵』、そしてでっかいバロック本の下には『マシンガンの社会史』…乱射!!(  ̄ー)o┳※・・・・・・ダダダダダ


マシンガンで『スカーフェイス』のアル・パチーノ気分になった皆さま(?)、さらに下へ潜りましょう(どんだけ積み上げてるんだ、バベルか!)。古書価格がバカ高いイヴ・セジウィック『The Coherence of Gothic Conventions』が上の方の『シュルレアリスムと書物』って本の下に紛れてますね(ほしかった)。ユング派音楽論『Music, Achetype, and the writer』も気になる。

そしてようやく一番底(ボトム)へ。『メルヴィルとターナー』欲しかったなあ……(むかし學魔に「欲しい本ある?」と聞かれて手紙でおねだりしたことある)。上から五番目のウィスケル『ロマンティック・サブライム』は『目の中の劇場』の最重要参考文献の一つ(その下に『シェリーとサブライム』!!)

《間奏~インテルメッツォ~》

もうこの時点で前回記事の量を超えているような…(汗)。ちょっと息抜きに學魔オブジェに目を向けてみましょう。窓際の結構目立つポジションに置かれたこの三人組何だろう。クラフトワーク聴きたくなりますね。

閑話休題。ここは中央長机の横に積まれたコーナーですね。まず一枚パシャリ。フランスの漫画を論じた『Text/Image Mosaics in French Culture』とかとか(真夜中に書き始めて朝方になってきて、ちょっと疲れ始めてます)

その横へ。ジョイス、ソロー、ユングなど大物が並ぶ中、下から二番目のJohn Vignayx Smyth『A Question of Eros: Irony in Sterne, Kierkegaard and Barthes』がめっけもん( ✧Д✧) キラーン 『怪物的なるものと発語しえぬもの——空想文学としての聖書』もヤバい。

そして長机横コーナーの末端です。『狂騒時代の芸術(Art in a Turbulent Era)』ほしい!

さて、書物の宇宙遊泳もいよいよ終わりです。最後はリルケちっくに「窓」で終えましょう。まず左の本塊。チャールズ・ニコル『ケミカル・シアター』って何⁉ それから『マラルメと崇高美』、ハンキンス&シルヴァーマン『道具と想像力』、そしてマシューズの名著『迷路と迷宮』!!(これなんで翻訳されないんだろう??)

右の本塊も興味津々。ジョイス研究にマストっぽいメルシエ『アイルランドの喜劇的伝統』、『バルト・エフェクト』なるロラン・バルト論、そして『ポストモダン・アウラ』なる語義矛盾はなはだしいタイトルが目を奪いました(が、当日はまったく気づかず)。

最後の最後に、學魔の所蔵マンガについて。『絶望先生』が置いてあることは分かっていたのですが、さらにヤマザキ・マリの『テルマエロマエ』(一巻のみ)、そして我らが萩尾望都先生のコミックスには信じられないくらいの膨大な付箋が…!! あまり読んだ痕跡を残さないことを美徳とする學魔ですが(書評などでいったん読んだら終りの本以外は基本書き込まないそうです)、やはりこの人の出現は視覚文化論の革命だった模様。

二回にわたる長大な書庫訪問記にお付き合いくださった皆様ありがとうございました。
恐るべきことに、前回記事掲載後に學魔から届いた手紙には、「あれフツー次元の啓蒙書の倉庫。メタフィクション論が隣の一室にめいっぱい。知識論は八王子のタヌキ御殿に。そのうちに。」

とあります。書庫はまだ二つ残されているのでした!!

書物宇宙遊泳に終わりはない(´✪ω✪`)キラーン

(※ちなみに前回記事と併せて文章をブラッシュアップして「ある書物」に収録される可能性あり。乞うご期待 o(`・ω´・+o) ドヤァ…!)


文・写真 後藤護