出血
大量出血時
① 循環血液量 ②止血機能(凝固機能)を維持する。
②止血機能
血小板や凝固因子の中でも、フィブリノゲンが最も早く止血限界閾値に達する。
大量出血の主要因は「高度な低Fib血症」。
いち早く知るべきはFib濃度!そのためのPOC。
Fib ≧ 150 mg/dL (産科では200mg/dL) を目標に管理する。
使用可能なフィブリノゲン補充製剤
1. FFP
利点:容量負荷もできる。
過剰凝固を抑制するATⅢが含まれている。
欠点:フィブリノゲン補充効率が悪い。
2. クリオプレシピテート
利点:フィブリノゲン以外の重要な凝固因子(Ⅷ, XⅢ, vWF, フィブリネクチンetc) も含まれている。
欠点:フィブリノゲン濃度のばらつき
限られた施設でしか使用できない。
3. 濃縮フィブリノゲン製剤
利点:フィブリノゲン濃度が一定。
フィブリノゲン製剤1gで、Fib約30mg/dL上昇する。
欠点:後天的低Fib血症に対する保険適応が現時点ではない。
溶解方法を間違えると泡だらけになる!37度以上にはしないように。
心臓血管外科におけるFib補充
(欧州心臓胸部麻酔学会)
出血リスクの高い術式や患者では、CPB離脱前後でPOCを用いて、フィブリノゲン活性を評価する。
従来のクラウス法でのFib測定は、Fib補充の指標として推奨していない。
理由
1. 測定時間が長い
2. 測定法による誤差が大きい
3. 高用量ヘパリンやFDPに影響を受ける
PT, APTTはFFP投与のトリガー値とはならない。
理由:PT, APTTは、凝固障害が内因系なのか外因系なのかその両方なのかを知るための質的検査で、定量的にその数値が用いられるのはワルファリンやヘパリンの投与時のみだから。
フィブリノゲン補充による血栓性合併症は増加しないと考えられている。
産科におけるFib補充
(英国血液学会ガイドライン)
FIBTEM A5 ≦ 7mm または A5 ≦ 12mmで出血コントロールができていない場合、Fib補充。(Grade 2C)
A5 ≧ 12mmではFib補充では止血改善は見込めない。(Grade2B)
産科が他の大量出血と異なる点
1. 妊娠は過凝固状態にあり、Fib 400-500mg/dL。そのため、Fib ≦ 200mg/dLはすでに中〜高度産科出血である。
2. 切開創の出血では分からない。子宮の胎盤剥離面からの出血である。
特に、羊水塞栓・常位胎盤早期剥離では、胎盤・脱落膜・羊水などに含まれる組織因子が母体血中へ入ることで、消費性凝固障害を起こす。そのため、Fibの低下が出血量に見合わないくらい激しい。