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富士の高嶺から見渡せば

“反日”大統領の“特別使節”宣伝塔に成り下がったBTS

2021.09.25 08:06

ニューヨークの国連本部、誰もいない本会議場の中を、韓国の若者7人による音楽パフォーマンスユニット・BTS防弾少年団が独占し、自分たちのミュージックビデオを撮影し、Youtube動画を通じて9月20日、世界に発信した。彼らは、会議場のほかにも国連ビルのなかのピロティ、国連ビル敷地内の庭などをわがもの顔に縦横に走り回り、パフォーマンスを披露、まるでBTSを代表とするK-POPが、国連を乗っ取って占拠し、世界の音楽シーンを席巻していることを再現するかのような映像づくりだった。

Youtube動画 BTS - "Permission to Dance" performed at the United Nations General Assembly | SDGs | Official Video

BTSという韓国の男性7人組のパフォーマンスユニットには、世界中に多くの熱狂的なファンがいて、世界的な人気を博していることは知っている。それは、国連を舞台にしたパフォーマンス映像が公開から2日間で1200万回の再生回数に達したことでも分かる。

しかし、それにしても世界には、K-POP以外にも、優れた才能を持つミュージシャンやアーティストは数多(あまた)いて、そうした個性や才能を競い合って多くの作品を生み出し、多種多様な様々な個性や才能を楽しむコアなファンが世界中にいることによって、豊かな音楽文化の裾野は広げられている。そうした中で、なぜ、国連という場で、BTSだけが特別扱いをされ、優遇されるのか、理解できない。BTSが国連の場に登場するのはこれが3回目だそうで、今回は、さらに国連が文在寅とBTSへの特別インタビューまで収録し、国連テレビがYoutubeにアップしている。

国連が、世界の音楽文化の発展に寄与したいと思うなら、特定の国の音楽文化や音楽家に肩入れせず、自由な競争を見守るべきで、K-POPへの過剰な優遇は、他にも多様な音楽文化を持つ他国の反発を買うだけだと思う。

BTSの今回の国連総会への出席は、韓国の文在寅大統領がBTSを「未来世代と文化のための大統領特別使節(Special Presidential Envoy for Future Generations and Culture)」として任命したことによる。韓国以外の国の政治家は、BTSが世界の「未来世代と文化を代表する」などとは誰も考えていないだろうし、代表してもらおうとも思っていないだろう。BTSを韓国大統領特別使節として任命し、国連の場に引き出したということは、偏(ひとえ)に文在寅という韓国大統領による個人的な政治的な意図であり、BTSの世界的な人気を手玉にとって、自分の政治目的の道具にしようとしたに過ぎないだろう。BTSがあたかも世界の「未来世代と文化を代表する」と仕組むことで、韓流やK-POPが世界を席巻し、韓国のコンテンツの優越性が世界に示されたと、国内向けに訴えることで、自らの政治的支持基盤を強くすることを狙っているのであり、BTSはその文在寅の宣伝塔として、国内向けアピールのお先棒を担がされたに過ぎないのである。

「文大統領がBTSの人気を利用した」という批判に対して、大統領府青瓦台の主席秘書官は、国連が文大統領とBTSをそれぞれ招いたものだとした上で、「韓国の格と地位と文化の力がこのように大きくなっているという自負心を持っても十分なこと」だと豪語し「BTSが世界最高のアーティストとして評価を受けるのはあまりにも誇らしく胸がときめく。韓国全体が太極旗をはためかせるように評価を受けているものでうれしく考えれば良い」とした。ほとんど自民族礼賛の偏狭なナショナリズムそのものだ。

中央日報9/23「韓国大統領府首席秘書官「文大統領がBTSの人気利用? 国連が招いたもの」

文在寅は国連の「持続可能な開発目標(SDGs)推進のためのハイレベル会合」に唯一招かれた首脳として演説したという。なぜSDGsの会合に文在寅だけなのか、これも理解できない。なぜなら韓国国内では「SDGs」という言葉はほとんど聞かれたことがなく、メディアで取り上げられることもほとんどない。たとえば日本ではNHKがここ数年、多くの番組を使って盛んにSDGsのキャンペーンを行なっているが、韓国の国営放送KBSの放送でSDGsの言葉が使われることはほとんどなく、KBSの国際担当の職員はSDGsの言葉さえ知らなかった。ということはSDGsの目標の中身を知らず、当然、その目標に向けて何も取り組んでいないということだ。

文在寅は国連演説の中で、新型コロナワクチンをめぐる国際協力やデジタル情報格差の解消を向けて韓国が役割を果たすと約束するなど、案の定、SDGsとはほとんど関係にない話に終始した。彼は終始「SDGs」を「SDG」と発音していたが、本当にその意味や内容を理解しているのか、疑問に思った。

聯合ニュース9/20 文大統領「韓国は包容的国際協力のパートナー」 国連行事にBTSと出席

文在寅の演説よりも世界の注目を集めたのはBTSが国連で発するメッセージだった。BTSの7人は、まるで日本の小学校の卒業式でよく見かける、子どもたち全員が分担を決めて言葉を繋ぐ、いわゆる「掛け合い」のような「朗読劇」を披露した。しかも、すべて韓国語で話したため、ほとんど空席ばかりの会議場では、なおさら空しく響くだけだった。

彼らのメッセージも、ほとんどSDGsとは関係なく、コロナ禍のなかで失った若者たちの日常の時間を惜しみ、そうした時代を恨みながらも、それを転機にしようという趣旨のメッセージだった。そして自分たちはコロナによって失われた世代=「ロストジェネレーション」ではなく、この状況を前向きに選択して生きようという「ウェルカムジェネレーション」だと主張した。

しかし、彼らが言う「若者世代」には、BTSの楽曲やパフォーマンスをデジタルメディアで楽しめる先進国のファンは間違いなく含まれるとして、コロナワクチンが未だに供給されないアフリカ諸国やミャンマーやアフガニスタンのように政情不安に苦しむ開発途上国の若者はおそらく含まれていないだろう。

BTSが発したメッセージは、世界の若者世代を代表するといいながら、自分たちのファンの思いを集めただけで、時代に対する真摯な考察も分析もなく、具体的に今の若者が何をどう行動すればいいのかの指針も示さず、極めて曖昧で抽象的な内容だった。「つらい時代だけど前向きに生きろ」などメッセージは誰でも言えることだ。

そんなこと訴えるためにわざわざ未来世代の代表としてBTSが国連総会の場に登壇したのだとしたら、自分たちの名前と曲を売るための「営業活動」の一環として国連を利用しているとみられても仕方ないだろう。

BTSの世界的な人気は、米ビルボードのHot100などのチャートで並みいるアメリカの有名アーティストを抑えてBTSの楽曲がチャート1位を何週間も連続で独占していることでも分かる。しかし、これについて、ポップスターのオリビア・ロドリゴやデュア・リパなどのファンから、BTSのファンによる「チャート操作」が組織的に行なわれているという指摘が出ているという。ストリーミング回数やラジオでの再生回数が少ないにも関わらず、チャートで1位を獲得できるのは、BTSの熱狂的なファン組織ARMYと呼ばれる人たちが組織的に指令を出すか、連絡を取り合ってCDの売上げやダウンロード数を操作しているのではないかという疑いがあるというのだ。

Wowkorea8/27・「BTS」、米チャート操作疑惑に反論「ファンを非難するのはやめて」

大統領選挙の結果を左右するためにSNSを使った大規模な世論操作が平気で行なわれる国。そしてK-POPや韓流ドラマを売り出すために外交部や文化体育観光部、それに国営放送KBSなどが強力なタッグを組んで海外セールスを展開する国である。かたや、J-POPやアニメを売り出すために日本政府とNHKが手を組んだなどといった話は一度も聞いたことがない。

文在寅は北朝鮮や中国にはすり寄る一方で、日本に対しては処理水にしても旭日旗にしても日本の嫌がることばかりし、国際約束も守ろうとしない。そんな文在寅の宣伝塔の役割を果たすBTSに対しては、別に彼らを好きでも嫌いでもないが、文在寅のお先棒を担ぐ存在として、これからもそういう色眼鏡で見ていくことになるだろう