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目黒文化スクール

「書くこと」の魅力について (後編)

2017.04.04 13:00

ペン字レッスンの目的である「書く」をテーマに、その魅力について前編・後編に分けて綴っております。今回は後編。

※前編はこちら↓

https://sens-meguroshiki.amebaownd.com/posts/2152941


2つめの効果。

♡バランス感覚が養われる


毛筆はもちろんのことペン字であっても、文字を「書く」ことを通して、私たちのバランス感覚はぐんぐん養われていきます。なぜなら、文字を美しく書くためには「空間把握能力=バランス感覚」が必要となるからです。文字の中心はどこか、線と線との間隔をどのように開けるか、▢の空間をどう確保するのか…それらを瞬時に判断しつつ適度なバランスが保ててこそ、美しい文字が生まれるのです。


それは逆に言うと、あらゆる空間や線に意識を傾けながら、美しい文字を書くための練習を重ねていくことで、空間把握能力が高められるということ。つまり、文字を書く練習をすればするほど、バランス感覚が養われていく!ということになります。


文字を書くことで養われたバランス感覚は、あらゆる身近な場面で役に立ちます。たとえば、人とコミュニケーションをとる時も。一見関係が無いようですが、「和を以って貴しとなす」という言葉があるように、バランス=和はとても大切。どのくらい空間を開けると美しく見えるのかを一瞬で判断できる感覚は、どのくらいの距離感で接したらお互い心地良いのか、どのような言葉を使ったら相手に想いを伝えられるのか、といった対人関係における判断にも応用することが出来るのです。他にも、部屋を整理整頓する時、何かをデザインする時…などなど。空間を把握してバランスを保つという能力は、あらゆる場面で強みとなることでしょう。

最後に、3つめの効果。

♡素晴らしい言葉との出逢い


文字を書く練習や作品制作のための課題を通して、素晴らしい言葉との出逢いがあります。ペン字のレッスンでは、ひらがなの基礎ややさしい漢字からはじまりますが、目黒式こども文化スクールSENSでは、素読やことば遊びの時間にも、美しい響きの言葉に触れてほしいと考えています。雄大な自然がイメージできる詩だったり、可憐な草花を愛おしく感じられるような俳句だったり、日々のささやかな幸せに気づけるような和歌だったり。


また、今はまだ意味がわからなくても、先人の智恵の結晶ともいえる論語や禅語などの言葉も、声に出してみる・書いてみる、ということを体験してみるだけで、自然に言葉の響きが意識の奥深くに浸透していくことがあります。


実際に私自身も、書家である母の作品を通して子どもの頃に知った禅語が、十数年後のある日突然フッと頭をよぎり、「あぁそうか!」と腑に落ちた経験があります。母の作品を見た当時は「ふ~ん」くらいにしか感じなかった言葉でしたが、大人になってから改めて意味を理解するとともに、その言葉によって当時ぶつかっていた壁を乗り越えるきっかけにもなりました。


その後も、書道の課題として出逢った言葉に、支えられ励まされることがたびたびありますので、ひとつ紹介させて頂きます。「弄花香満衣」(花を弄すれば香り衣に満つ)という言葉。私の大好きな禅語で、<花を摘んでいると衣にも香りが移る>ということから、<物事の真理というものは自然と一体になるものである>ということが、美しく表現されています。私なりの解釈としては、「豊かな香りのする美しい花と自分という存在は別ではあるけれど、自ら手を伸ばしてその花に触れることで、その麗しい香りを衣に移し身にまとうことが出来る」つまり、生き方が美しいと感じる人、美しいもの、美しい言葉、、、それらに触れることで自らの内面もまた同じように輝くのである、ということです。それには、まずは美しいと感じるセンサーを磨いていたいし、センサーが反応する美しさに出逢えた時には、それに触れる勇気を持っていたい!だからこそ、精進して日頃からスタンバイしておくことが大切なのだ!と、この言葉を思い出しては日々モチベーションを高めています・笑


上記はあくまでも私自身の一例ですが、このように人生のどこかのタイミングで、悩みを解決する糸口になったり、健やかな心身を育む支えとなったり、創造の扉を開く助けになったりするのが、美しい言葉の持つ力なのではないかと思います。また、それらに出逢う機会を与えてくれる「書く」という文化の素晴らしさと魅力を、SENSのレッスンの中でこどもたちにもぜひ感じてもらえたらと考えております。


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