スナップ『プロの手によるツリー２０２１』

毎年自我流で飾り付けていたクリスマスツリーを今年はプロのデザイナーさんにお願いし、『ほんものがある だから ほんものになる』教室のコンセプト通りプロ仕様で飾りたてをして頂きました。

今年のテーマは『ホワイトクリスマスツリー』

子供達のまっさらで純真な心と眼差しをイメージし、コロナ禍の混沌とした一年の清算と来年度の希望をホワイト色に託し、後は全てお任せに・・・。今週はほんものの技を一部始終をご覧いただきます。

２ｍ５０ｃｍを超える巨大ツリーは、モミの葉を広げるという地味だけれど完成度を左右するとても重要な作業からスタートします。人工物をあたかも本物のモミの枝葉のように自然な動きに整えていく姿に「プロの仕事」を目の当たりにしました。ちなみにこの作業は手が傷だらけになるので私は省きに省いていました。やはり子育てと同じで一手間と心遣い、そして土台作りが重要ということのようです。

やがてツリーの裏側の壁が透けて見える空間が埋まり始めました。ここからどのような飾り付けになるのか注視していると、魔法のような幾つもの技が展開され予想だにしない華やかなツリーになりました。

完成図も、ラフ画も全く無いまま・・・「私はツリーを前にして感性の趣くまま創り上げます。」２度と同じものは創らないと堂々とした発言がきっぱりと言える自信はどこから来るのか、それがプロなのだと納得しました。流れるようなリボン使いをササッとさり気無く配し、アシスタントの方もこれだけは何度やっても真似ができないとおっしゃっていました。

リボンのふんわりとした曲線を描いたかと思えば、木の枝にかかる樹氷は冬の厳しさを現すかのように重みで撓んでいる様子が冬の森を想像させてくれます。

デザイナーさんの粋な計らいはあちこちに。是非生徒さんにもプロの技で飾り付けられた『ほんもの』を間近で見ていただきたいと思います。・・・でも高価なものなのでお手を触れず、見るだけでお願いします。

さて１０年のお付き合いになるデザイナーさんは、沖縄県内のホテルや結婚式場の教会などを手掛ける沖縄トップの逸材。わが教室にある美しいものの殆どがこの方のセンスによるものです。飾り付けをソファーで眺めながら幼児教育者としては、彼女たちのバックグラウンドに興味が湧きとうとう取材に至りました。

ご自身の感性をとても大事にされ、多方面にアンテナを張られ常にお勉強をされているそうです。話が進むにつれその感性はお母様が深く関係していることを知りました。デザイナーさんの遊び場は那覇では格式の高い老舗のホテル。花嫁さんのドレスに囲まれたお母様の職場でお仕事が終わるのを待ち、美しいものに囲まれた幼少期を過ごされ、その感性が今の職業に繋がっているとのことでした。

一方アシスタントさんは歴史好きのお母様に連れられて古地図を片手に東京都内を散策され、今ではその影響で歴史好きの道を歩まれています。時にその歴史上の人物の格言や名言をデザイナーさんに指南されているそうで、絶妙なタイミングでの掛け合いがこれまた飾り付けを奥深くしていると感じました。そんなアシストさんですが茶道や華道を極め、いつの日かお茶を習いに伺いたいお師匠さんでもあります。華道という基本をおえているからこそデザイナーさんの凄さをお感じになられているそうです。

このお二人のそれぞれのバックグラウンドが融合して生み出される美しさがあるのでしょう。きっとお二人のお母様は今のお二人の将来を明確に想像してお育てにはなっていなかったでしょう。しかしその幼きときにお与えになった環境は彼女たちの意識の高さを生み出し、生活の糧を得て人を喜ばすお仕事に繋がっています。何よりも楽しんでお仕事をされているからこそ人が惹かれるのでしょう。この記事をご覧のお母様方も付加価値のある豊かさを子供に与えられるよう励んでほしいと切に願います。

そんなデザイナーさんの粋な発案でツリーの先端にはトナカイの角をイメージしたブランチを２本遊び心として挿しています。ツリーの影からトナカイが今にも姿を現すのではないかと想像しながら眺めてみてください。

デザイナーさんに完成後、出来上がったツリーについてコメントをいただきました。

「静まり返るクリスマス・イブの夜、空で生まれたひとひらの雪の華が１本のモミの木に舞い降りました。この雪の華には一人の幼き雪の王女が横たわり眠っています。モミの木に天から贈られた透明感溢れる美しいものが増える度に耳に伝わる繊細な音に気付き、幼き雪の王女は深い眠りから目覚めます。するとツリーに魔法をかけ飛び回る妖精たちに気付くのでした。小さな子供達のいる空間に多くの奇跡的魔法が降り注ぐことを願って・・・心を込めました。」

ほんものを創り上げる人々の感性は驚きの連続でした。

素敵な思いを込めて下さったデザイナーさんのお店アンジは那覇市泊２丁目、尚学院の近くにあります。多くのセンスあるものに囲まれる素敵なお店です。是非一度訪れてみて下さい。