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佐賀の年金アドバイザーhirokiの楽しく学ぶ公的年金講座

よく年金保険料納付率60%しかない!って言われるけど本当なのか!?

2017.03.23 21:36

こんにちは!

年金アドバイザーのhirokiです!


よく、だいぶ前からですがニュースとかウワサで国民年金保険料納付率が60%しかない!みたいな事が言われますよね。


そしてまた破綻論や不安が世間を駆け巡る。

納付率が60%って事は保険料未納してる人が40%居るって事ですよね。



これって本当なんでしょうか。



いつもこの話題を耳にしたり目にすると、またか…と思います。


肝心な事言ってないから。


結論から言うと95%以上の人は未納ではありません。


まず、国民年金被保険者って3種類あるんですよ。

※注意

人数は正確な数字が発表されてる平成26年度末状況でのを使っています。

現在は若干異なっているかもしれませんがそんなに違いはないです。




まず自営業、フリーター、無職、学生等の国民年金第1号被保険者が1,742万人。


で、会社員とか公務員が加入してる国民年金第2号被保険者が大体4,039万人。

内訳はこんな感じ。

会社員のような第1号厚生年金被保険者が約3,599万人。

第2号厚生年金被保険者(国家公務員共済組合)が106万人。

第3号厚生年金被保険者(地方公務員共済組合)が283万人。

第4号厚生年金被保険者(私立学校共済組合)が52万人。

国民年金第2号被保険者合計が4,039万人。

この会社員や公務員の4,000万人くらいの国民年金第2号被保険者は、

会社が不正でもしない限り給与から強制的に厚生年金保険料が徴収されるから未納しようがない。


会社の不正(保険料は社員から徴収したが会社が年金機構に納めてないとか)が無ければこの人達は保険料納付率は100%。


で、国民年金第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている人)は932万人。

第2号被保険者から扶養されてる第3号被保険者は、

国民年金保険料払わなくても国民年金保険料はちゃんと支払ったものとして扱われますが、

この第3号被保険者の年金(基礎年金)の原資(基礎年金拠出金という)は第2号被保険者の保険料の中に含まれてるんですよ。



これらの人数合わせると、1,742万人+4,039万人+932万人=6,713万人。


もし、単純に納付率が60%っていうなら、6,713万人×60%=4,027万人ちょっとで2,685万人くらい未納みたいな話になっちゃう。

という事は表面だけ見たら未納率40%っていう事でもありますね。


でも違う。

全く違う。


国民年金納付率60%というのは、国民年金第1号被保険者に限っての話。



まず、その国民年金第1号被保険者の中(1,742万人)で国民年金保険料免除してる人が大体600万人くらい居ます。

申請免除者→380万人。

学生納付特例免除や若年者猶予→222万人。

免除者合計602万人。


国民年金第1号被保険者の残り1,140万人の中に未納者は224万人で、

国民年金未加入者(外国とかに住んで国民年金に任意で加入してないとか)が9万人。



実際に国民年金第1号被保険者として国民年金保険料を完全納付している人は907万人。



この国民年金第1号被保険者1,742万人に対して907万人だけなら割合は52%くらいになってしまいますよね。


まあこれだけ見ると、未納率40%以上になる。


しかし、免除者等は未納とはまた別物。

未納だと全く将来の年金に結び付かないけど、

とりあえず免除しておけば税金分(全額免除でも基礎年金の半分)は受け取れる(学生納付特例や若年者猶予は年金額に反映しない)し、

年金受給資格に必要な25年以上(今年8月から10年以上)の期間にも入る。

年金の期間に含むから遺族年金や障害年金を受け取りたい場合に、

未納と違って受け取る条件を満たしやすいから話がスムーズになる。


また、免除部分は過去10年遡って後で保険料を納めて老齢基礎年金額を増やす事が可能。


※参考

今なら未納部分は過去5年以内であれば年金事務所に申し込んで、専用の納付書を発行してもらって後納して納める事が出来ます(平成30年9月までの時限措置)。

ただし、3年度以前の保険料は当時の保険料よりちょっと高めに納めないといけない。

過去2年1ヶ月以内の未納部分は通常の納付書で納付できる。




というわけでちょっと話が逸れましたが、結局未納者の割合というのは、6,713万人に対して224万人という事で3.3%。


という事は97%くらいは未納ではないんですね。



国民年金は冒頭に書いたように第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者までと分かれてはいますが、

昭和61年4月から国民全員を国民年金に加入させたんです。


いくら、厚生年金に加入しているサラリーマンとか公務員であってもまず国民年金に同時加入している形なんですね(だからといって保険料は二重に支払っているわけじゃない)。

国民年金に加入してる上で厚生年金が乗っかっている。


というわけで、国民年金保険料未納率の話をするんなら全体の話をしないといけないわけです(^^;;



国民年金納付率60%しかない!っていうのは、

国民年金第1号被保険者の人達だけの事を言ってるんです。



にしてもなんか未納者が増えるとなんとなく年金財政がヤバくなりそうなイメージがもたれますが、

未納の分は年金が支払われないだけの話なので年金財政を圧迫するようなものではありません。

未納が増えると破綻するという心配は年金制度が破綻するというより、未納者自身の生活が破綻しかねないといったところであります。

未納が多すぎて保険料支払った期間や金額が少なければそれだけ支払われる年金も少なくなるし、

また、年金受給資格期間を満たさなければ本人に1円も支払われない。


過去に何度か言ってきましたが、公的年金は保険なんです。

老後のために保険料払って積み立ててるわけじゃない。

今の現役世代の保険料がそのまま年金受給者に行く賦課方式という方法を取っています(年金は元々は積立方式から始まったが機能しなくなった)。


老後の年金の場合で言えばなぜ保険料を納めているのかというと、誰にもわからない長寿リスクに備えてるわけなんです。

損得とかは結果的なものであり、二の次。


歳を取り、老齢になったら働く事が困難になりますよね。

そしてこんな超高齢社会になったらいつまで生きるのかわかんないですよね。


生きてる間は国が終身で公的年金を支払いますというわけです。



そして若い人達が老後になった時、その老後を支えてくれるのはその時の現役世代の保険料。


いつまで生きるのかわからない超高齢社会の中で、公的年金を守っていく事はとても大切な事なんですね。

※公的年金を廃止したら一体どんな問題があるのか?(まぐまぐニュース記事)



まあいろいろ不安を煽られる年金制度ではありますが、表面的な事だけに惑わされないようにしましょう~


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