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超人ザオタル(35)もどかしい想い

2021.09.28 00:06

「それはよく分かります、アムシャ。

だた、何もないところに何を見つければいいのでしょうか。

私はそこにいると知っています。

それが道の終着地だとさえ分かっているのです。


ただそこに手応えがないというか。

世界での経験のような記憶するべき何もありません。

いったい私は何を見落としているのでしょう。

そこが本当の自分だとも知っています。


考えれば考えるほど分からなくなっていきます。

ここに意味があるのか。

私の道の終着地は本当にここでいいのか。

誰も何も答えてくれません」


アムシャの言葉に刺激されて、私の想いが吐き出された。

「それについてはもちろん自分で理解しなければならない。

私の説明はひとつの言葉でしかないのだ。

言葉には伝える限界がある。


だが、その言葉を元に自分で自分の概念を破壊するのだ。

そしてその何もない世界に自分を合わせてみる。

全面的にそこの感覚を受け入れてみる。

それ自身になって、それがどういうことかを直に感じてみるのだ。


それでも分からないかもしれない。

いや、ほとんどの場合、何も分からないだろう。

それでも瞑想でそれを絶え間なく繰り返していくのだ。

そうして自分の概念の壁を削り取り、そこと完全にひとつになる。


いつかは分からないが、その意味を知る時が来る。

それは言葉では説明不可能だ。

何しろそれはこの世界のものではないのだ。

言葉を超えたものが確かにそこにはある」


アムシャの言葉は私を励まし導いていく。

私はそれを理解できるところにいるのだ。

だから、アムシャは私に言葉を投げかけ続ける。

そうと分かっているから、はっきりと理解できない自分がもどかしい。


岩山の上で沈黙が続いた。

私は沈黙でいることが正しいことだと感じた。

アムシャも黙っていた。

あの優しい風が私を撫でたあと、世界がぼやけて溶け始めた。


気づくと私は静寂の闇の中にいた。

相変わらずそこには何もなかった。

ただ、自分はここにいると分かっている。

それだけが、ここでの私の真実だった。


瞑想から出るように意識が表面に浮上していった。

身体の感覚が戻り、私は椅子に座っている自分と重なった。

ゆっっくりと目を開けると、外が白んでいた。

夜明けの光が窓に差し込んだ。