「新型コロナウイルスと抗酸化作用」
https://delta-i.co.jp/columns/%E7%AC%AC43%E5%9B%9E%E3%80%8C%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%A8%E6%8A%97%E9%85%B8%E5%8C%96%E4%BD%9C%E7%94%A8%E3%80%8D/ 【第43回「新型コロナウイルスと抗酸化作用」】より
2020年05月10日
世界で蔓延している新規コロナウイルス(COVID-19)は約340万人が感染し、約24万人が死亡しています(5月上旬現在)。
この新型コロナウイルスの主な臨床的特徴は急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であり、その主要な合併症は急性心損傷です。
最近の臨床報告では、COVID-19感染の治療時間は長期に亘ることが分かっています。
長期間のウイルスに晒されると、一部の免疫細胞、特にマクロファージおよび好中球が多数の活性酸素を生成します。
その結果、ウイルス感染細胞だけでなく肺や心臓の正常な細胞にも障害をもたらします。
従って、COVID-19によって引き起こされる心原性死傷者を軽減するために、抗酸化作用を利用する可能性が示唆されています
(Int J Cardiol. 2020 Apr 6 doi: 10.1016/j.ijcard.2020.04.009)。
この抗酸化作用を実現する方法としては、抗酸化作用を有するビタミン類、すなわちビタミンC(L-Ascorbic Acid)やビタミンE(Tocopherol)が利用できます。
これらビタミン類の還元性水素原子が活性酸素と反応するためです。
そして、ナッツ類のような植物由来成分にも抗酸化効果があります。
ナッツ類にはたくさんのビタミンEが含まれます。
例えば、アーモンドの場合、100g(約100粒)に含まれるビタミンEは31.4mgで、西洋カボチャの3.6倍、ブルーベリーの13.7倍です。
また、ナッツ類にはその薄皮(ナッツを包む焦茶色の薄い皮)にポリフェノールがたくさん含まれます。このポリフェノールは高い抗酸化力を持っています。
ちなみに、ナッツ類の中でクルミが最もポリフェノールを有しています。
世界でCOVID-19が収束するまでにはもう少し時間が掛かりそうですが、過食と運動不足に注意しながら、身体と心を健康に保ちたいものです。
第44回「クルミの抗酸化物質はどこにあるのか?」
2020年06月20日
現在、世界では「抗酸化」をキーワードとしてクルミに注目が集まっています。
新型コロナウイルスの蔓延など健康への関心が高まっていることも要因の一つです。
クルミはクルミ科クルミ属の落葉高木です。
日本でも長野県を中心に全国で見られる。その実は緑色をしていますが、その中に種(核果)があります。
私たちが食べているのはこの種の中の仁です。ここでは仁(kernel)、薄皮(skin)、そして外側の硬い殻(shell)について、その抗酸化物質について書かせて頂きます(Molecules. 2019 Jun; 24(11): 2133)。
仁:今でもアジアやヨーロッパの一部では、腹痛や咳など伝統的な治療薬として利用されています。この仁そのものは他のヘーゼルナッツ、アーモンドなどに比べてビタミンEの含有量は多くありません。全体としてクルミ本体(薄皮を除いた部分)にはそれほど抗酸化物質を含んではいません。
薄皮:この茶色の薄皮は仁を酸化や微生物汚染から保護しています。抗酸化物質であるフェノール化合物はこの薄皮に最も多く含まれています。クルミから薄皮を除いてしまうと抗酸化作用は約90%減少すると報告されています。ただ、薄皮が僅かに渋く感じるのはこのフェノール化合物のためです。
殻:通常はこの部分は割って廃棄してしまいます。工業的にはその硬さと自然界で分解可能なために研磨材として使用されています。普通は金属や石を磨きますが、宝石や万年筆のペン先などの磨きにも使われます。この殻の部分にも抗酸化物質はたくさん含まれますが硬いために利用されてきませんでした。しかし技術が進み、今日では殻から抗酸化物質や抗菌木酢液が取り出され利用されています。
栄養豊富で我が国でも縄文時代から食べられていたクルミを食生活に活用したいですね。
第45回「くるみのポリフェノールと免疫力」
2020年08月03日
食品成分は免疫の形成と密接に関係しています。
食品成分は、炎症性サイトカイン(身体全体あるいは身体のある部位の炎症の原因になる)の合成、免疫細胞(代表的なものとしては白血球)の制御、および遺伝子発現を妨害することにより、免疫において重要な役割を果たす可能性があります。
特に、食品成分のうちポリフェノールはさまざまな経路を介して外来病原体に対する免疫を促進することが報告されています。さまざまな免疫細胞がポリフェノールの信号を受け止めるポリフェノール受容体を持っています。
これにより、免疫細胞の信号が強化され、免疫能力が上がります。
くるみは食品の中でも最もポリフェノールが含まれるものの一つです。
特に、くるみの薄皮には量だけでなく、たくさんの種類のポリフェノールが含まれます。
種類としてはカテキン、タンニン、そしてエラジタンニンなどが多く含まれます。
これらくるみポリフェノールの効果としては、抗高脂血症作用や肝臓保護作用が知られていますが、腸の粘膜免疫応答、アレルギー性疾患、および抗腫瘍免疫を調節することが報告されています(J Immunol Res 2018; 2018: 1264074)。
近年、研究が進んでいるくるみポリフェノールとしてエピガロカテキンガレートが注目を集めています。これは3つの経路によって免疫に影響します。結果として、好中球やT細胞などの細胞接着(この場合は炎症部位への集積)や炎症を調整します。更には、免疫・炎症物質であるインターフェロンも誘導します。
なお、近頃の研究では、これらの食品を如何に習慣化するかによって、子供達への遺伝的な良い変化(これをエピゲノムと言います)が起こる可能性が示されています。
良い食習慣のひとつにくるみを加えてみては如何でしょうか。
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自然界において抗酸化物質を最も豊富に含むことがわかったカカオ。
しかし世界中の製薬会社、サプリメント会社が製品化を断念していたカカオ。
それは40度以上の高温処理による製造段階で殆どの抗酸化物質が死滅してしまうことがわかっていたからです。
Well Beyond社は40度以下の低温製法(国際特許)を確立し、カカオの抗酸化成分を100%含有した世界唯一のヘルシー・チョコレートを誕生させました。
チョコレートは不健康なお菓子でない。
正しいチョコ選びであなたは変わることでできる。
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https://www.well-beyond-japan.com/change-the-world.../388472
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/616262 【新型コロナウイルス感染症から学んだこと(8) 活性酸素とウイルス感染との関係】 より
慢性的にストレスにさらされると、体内に活性酸素が大量に発生します。活性酸素は白血球によってウイルスを攻撃する際に使用されます。その一方で、有害な外敵だけでなく、体を作っている細胞や遺伝子なども攻撃します。
大量に発生した活性酸素がコルチゾールを制御する機能を破壊してしまうので、体内のコルチゾールが高値となります。これがストレスによるウイルス感染症、生活習慣病、がん、うつなどの症状発現の原因と考えられています。
「SOD」とは、Super Oxide Dismutase(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)の略で、私たちの体内で過剰となった「活性酸素」を取り除き無毒化してくれる「酵素」です。「活性酸素」とこの「SODなどの抗酸化酵素とビタミン・ポリフェノールなどの抗酸化物質」のバランスによって、私たちの健康が保たれています。
抗活性酵素はタンパク質からできていますが、特に、良質なタンパク質(プロテインスコア)の第1位は鶏卵(100)、サンマ(100)、鶏レバー(93)、牛乳(85)、鶏肉(84)などがあります。鶏卵は銅や亜鉛といったミネラル分も含まれる最良のタンパク質です。またビタミンEを再生するのに力を貸しているのが、システイン。ほかにも鶏卵の黄身に含まれるコリンは頭脳を明快にする働きがあります。卵白に含まれるリゾチームは、かぜの各種症状の緩和に効果的です。卵酒は、風邪の治療として用いられてきましたね。
しかしながら、地球規模での急速な環境汚染などにより私たちの体に侵入してくるバイ菌と同様に環境汚染物質(農薬・殺虫剤)、加工食品(添加物)、紫外線、排気ガス、ストレスなどに活性酸素が反応するようになったのです。 従って、体内で作られるSODだけでは間に合わないというのが現状です。また卵白に含まれるオボアルブミンというタンパク質は消化酵素に分解され、2種類のペプチドが作られます。このペプチドが免疫力を高めるといわれています。さらに卵白のタンパク質そのものが抗酸化力を持っていることも知られています。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター教授・副センター長・統括産業医 佐藤武)