朝日新聞「折々のことば」で紹介されました
2021.09.28 03:42
朝日新聞朝刊の1面にある「折々のことば」は、哲学者の鷲田清一さんが自らの心に響いたことばを選び、思索を綴るコラムです。
ここで『シェフたちのコロナ禍 道なき道をゆく三十四人の記録』から、なんと2日連続で2名のことばが取り上げられました。
9月10日は「鳥福」店主、村山茂さん。
「不透明な未来への不安や心配、憤りなどの思いをともに分け合った、そのうえでの平常心、なんですね。」
渋谷のんべい横丁「鳥福」は昭和7年創業です。
『僕ら飲食店は、「今日行かなくてもいい場所」なんです。何も台風のなか傘をひっくり返してまで行かなくていい。でも翌日晴れたら、会社と家の通勤路をちょいと外れて、電車に乗って来てくれる。そうして「いらっしゃいませ」と言えるありがたさ、の積み重ねですよね。そんな不要不急の世界で飯を食ってきた』
そう語る老舗の「平常心」には、凄みがありました。
9月11日は、2020年に三つ星を獲得した「レフェルヴェソンス」生江史伸シェフ。
「飲食店の厨房は毎日が緊急事態ですから。」
取材時、シェフはさらりと放った一言でしたが、客席側の人たちは想像もしませんよね。
なぜ、料理人は有事に身体が動くのか。
本書の取材を通して、私もまた考え続けていました。