栃久保 操 1940年、生まれ
2021.09.28 08:12
20回目を迎えた作品展。花棕櫚開館時から、毎年、出展して頂いています。
81歳の誕生日を迎えられ、今年は益々勢力的にご活躍です。
日本画の清流に棲むアマゴや岩魚の細密画から始まり、自然への畏敬、エネルギーを現した鬼シリーズは、長く親しまれている。それは、決して恐ろしく、怖い鬼ではなく、自然そのもの、力があり、大地を清め、自然や生きとし生けるものすべてを守ってくれる存在であるが、時には牙も剥くことはある。東北、北上市の市民スタジアムにチタンで描かれた大きな飛んでいる鬼の壁画は、20年以上も東北の人々を勇気づけている。
新城市大野(旧鳳来町)で生まれて山や川、生き物とともに成長した。高校一年から豊橋で暮らすようになり、ますます山や自然への憧憬は深くなっていく。そのぶれない原点はそこにある。
時習館高校で、世界の名画集を手にして、スペインの画家ジョアン・ミロの絵に衝撃を受け、画家の道に進むことを決め、多摩美術大学に進学。
清流に棲む魚を透明感あふれるタッチで描かれたアマゴの泳ぐ姿の絵は、豊橋市立病院の長い廊下にかけられている。30年以上、患者さんや家族、病院で働いている方々にも、癒しとして存在している。
赤羽根海岸で拾った石の線に魅せられて、その筋をデッサンしていく。この30年で、13万枚になるという。その線をたよりに、鬼のシリーズが生まれ、森の詩シリーズとなり、最近では、マンガラ(栃久保新造語)、宇宙の子と続いている。森の詩は、豊川市民病院、新城市役所に飾れている。その緑の色は、独特の色合いで、印刷が難しい。栃久保色といえる。
円空が10万体の仏を彫ったとされる、その魂に近いものがあるように思う。まさしく『鬼気迫る』ものがある。