Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

河北新報社 記者と駆けるインターン

日本の屋根 次世代へ 明治学院大3年 木村省吾

2015.09.01 01:00

 薄暗い中で重厚な寺院の屋根瓦が黒光りする。

日本三景・松島にある寺院・円通院で毎年秋に行われる紅葉のライトアップ。

紅葉の鮮やかな紅と、瓦の艶めく黒の対比は圧巻だ。

寺院の建物を守り、景観を作り出す瓦。

施工したのは、仙台市青葉区にある屋根工事業「植木」だ。

「歴史のあるところには瓦があるんです」。

6代目の植木徹郎(うえき・てつろう)さん(36)は語る。



 2011年の東日本大震災では、発生当日から傷んだ屋根の修理に追われた。

1年間に請け負った修理や施工は約1000件に達した。

なんとか人材をかき集め、例年の3倍以上の仕事を受けたが、

それでも手が回らない。

400件は依頼を断らざるを得なかった。

「客の助け全てに応えることが出来なかった」と唇をかむ。



 震災報道の中で、割れた瓦の映像が繰り返し全国に流れた。

「瓦は地震に弱い」という従来のマイナスイメージに拍車がかかった。

震災以前から、瓦の需要は低落傾向にあった。

そこに震災の影響が加わり、瓦業者の廃業が相次いでいる。



 逆風を断ち切るべく、植木さんは震災後、

地元の同業者らと立ち上がった。

地元の高校生と一緒に鬼瓦を作る授業を積極的に開催し、

形として残る仕事のやりがいを伝える。

「若手の人材育成が最優先」と目標を一にする同志8人と、

瓦と若者をつなごうと意気込む。



 「これからマイホームを構えようという若い世代にもっと瓦を選んでほしい」。

願いを託すのは、オレンジやブルーなど、カラフルな粘土瓦だ。

色と形の組み合わせは60種以上に及ぶ。

30―40代の新築依頼者をメーンターゲットにし、

洋風建築にも合うようにと積極的に売り出す。

新しい取り組みは狙い通り。

若い世代からの関心を集め、注文は徐々に増えている。




【明るい色彩の洋風瓦を手に、瓦の魅力を説明する植木さん】



 



 瓦は1400年前に中国から伝わった。

以来、時代のニーズに合わせて形を変えつつ浸透し、

日本を代表する屋根材の地位を築いてきた。

「瓦の力を伝えることが大切なんです。

まずは若い人に伝える機会を作るために飛び回ります」。

厳しい状況の業界から生まれた若い力は、

瓦と次世代を結ぶ架け橋となる。



--------