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河北新報社 記者と駆けるインターン

試練を超えて 法政大2年 池田隆平

2015.08.31 18:00

 柔らかな食感に噛めば噛むほど口いっぱいに広がっていく甘み。 

合成調味料や防腐剤などの「添加物」は使用せず、

魚のうまみが生きている。



 石巻市の水産加工業「高橋徳治商店」は1905年に創業。

さつま揚げやちくわなどの練り製品を製造している。

タラのすり身と豆腐を混ぜて加工した「おとうふ揚げ」が看板商品だ。




【看板商品「おとうふ揚げ」を持つ高橋社長】



 



 「添加物を使わない独自の商品を作りたい」と

3代目社長の高橋英雄さん(64)は語る。

きっかけは1977年。

埼玉県川口市の小中学校に給食としてお好み焼き風のさつま揚げを出したのが始まりだ。

当時、給食で野菜を残す小中学生が多かった。

野菜を食べてもらえて、かつ体のことを考えて無添加の製品をつくってほしいという要望を受けた。



 当初は失敗の嵐だった。

「添加物を使っていた頃の製品から添加物を除いただけの製品を作ったら、

すぐにボロボロになってしまった」と当時を振り返る。

添加物を使わないため、組み合わせる魚が重要だ。

魚によってうまみが違うため、魚の選別に試行錯誤を重ねた。



 製品への意識が変わったのは学校給食だけがきっかけではない。

東日本大震災後にさらに加速した。



 津波で石巻市の全3工場が操業停止した。

本社工場は泥で覆われた。

青森や鹿児島からも駆けつけた、のべ1500人のボランティアとともに清掃に励んだ。



 震災後の2011年10月。

再開後にはじめて作ったのはおとうふ揚げ。

1000キロにも及んだ。

震災前の味が復活したことを喜ぶ中、社長は一人疑問に思った。

「震災前を超える物を作りたい」と、1000キロすべてを商品化しなかった。



 はじめは社長の思いを従業員は理解できずにいた。

だが「全国から駆けつけたボランティアのために味で恩返しがしたい」という社長の思いが伝わり、

従業員は塩加減、加熱温度などに、より一層気を使うようになった。

おとうふ揚げが出荷できたのは、さらに1カ月が経過した11月だった。



 社長の苦悩や思いが詰まったおとうふ揚げ。

社長は今後もおいしさを追求し続ける。



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