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河北新報社 記者と駆けるインターン

防災を楽しく、日常で 東京外語大3年 小林知史

2015.09.02 01:00

 スチールウールと乾電池をこすり合わせると焦げた匂いがしてきた。

煙が上がって、炭に火が移れば準備は完了。

子どもたちの、歓声が上がる。

火起こしから初めて、ピザやパエリアを作るイベントの一コマだ。



 名取市杜せきのしたにある、東北発の食材を使った商業施設「アタラタ」。

東北の食材を使ったそば屋、パン屋、レストラン、アンテナショップが並ぶ。





【朗らかに話す島田社長。展望を語る声は確かだ】



 



 アタラタを運営する「ロクファームアタラタ東北復興プロジェクト」の役員、

島田昌幸さん(32)。

全国各地でのまちづくりコンサルタントの経験を活かし、

「アタラタ」全体の広報やイベントの企画立案に携わっている。



 島田さんは東日本大震災発生時、物資が届かず、品不足が続く状況を目の当たりにした。

おにぎり一つの入手さえ困難となり、

「いざという時、食べるために何が必要なのかを理解できるようにしよう」。

島田さんは食べ物が口に入るまでの過程を学ぶ必要があると考えた。



 「粉・水・火。こういう基本的な材料でピザやそばを作れるということを知れば、

いざというときに食を守る防災にもなる」。

店舗に併設された、ガラス張りのそば打ち実演スペースは粉を麺に加工するだけでなく、

実を粉にする過程も紹介する。

商業施設はオール電化。

太陽光発電パネルも一部に設置してあり、停電しても日中は調理が可能だ。




 しかし、太陽光でまかなえる電気は通常の3分の1。

災害時に電気に頼ることは難しい。

アタラタは有事の際、電気やガス無しで「食」を維持するための学びの場でもある。

冒頭の火起こしイベントはそうした取組の一つ。

アウトドアメーカー「スノーピーク」と協力して行った。



 島田さんは突然の災害の時でも、食といのちをつなぐ知識を学ぶイベントをこれからも企画していく。

「防災のための防災は定着しない。防災につながる価値観を日常に蓄積しなくては」。

楽しく学んで、美味しく食べる。

結果、実践的な防災の知恵が生まれていく。




 



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