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河北新報社 記者と駆けるインターン

酒と人との出会いを大切に 山形大3年 川口御生

2015.09.01 18:00

  宮城県松島町に、子どもから大人まで幅広い年齢層に愛される酒屋がある。



 むとう屋は宮城県の地酒を専門に扱う酒販店。

「せっかく店に来てくれたんだから、お客さんには気持ちよく帰ってほしいんだ」

そう語るのはむとう屋の3代目社長、佐々木繁さん(67)。

一つ一つの日本酒に添えてある説明書きには、

味わいや、おすすめの飲み方を記載する。

お酒の系統については「インパクト系」「癒し系」といった

ユニークな記述で親しみやすさを与える。



 むとう屋では2001年から、「酒かわら版」というオリジナルのチラシを二カ月に一回発行している。

ほぼA3サイズの用紙の裏表に、数量限定商品などを手書きで紹介し、

郵送でおよそ3500人の会員に送る。

書くのは佐々木さんの娘で店長の佐藤華子さん(38)。

蔵元と取引をしながら仲が深まるにつれて知った、酒に懸ける思いや苦労話。

「お客さんにも伝えたい」という思いから始めた。

「『酒は飲めなくなったけど、酒かわら版は送ってくれ』という声が嬉しい」と佐々木社長は語る。



 2011年の東日本大震災。

津波が店の一階部分に押し寄せ、納品に関するデータや在庫を失った。

「お店を続けられるのか」。

呆然とする中で客や蔵元に助けられた。

全国各地から心配や励ましの声が届き、

中には直接物資を送ってくれた人もいた。

同じ被災地にいる取引先も優先的に商品を回してくれた。



 「むとう屋を大切に思ってくれる人々の支えがあったから商売を続けてこられた」と佐々木社長は語る。



 今年4月に梅酒と同じ原料で作った「松島梅サイダー」を発売した。

子供が大人と一緒に乾杯でき、幅広い世代に楽しんでほしいという思いが込められている。

発売から好評で、子供が家族を引き連れ、また孫のために買い求める年配客もいる。

酒屋であるむとう屋に新たな客を呼び込んでいる。



 「気になるお酒試飲してみますか?」。

活気があふれる店内にはむとう屋自慢の酒と肴が並ぶ。

ひっきりなしに客が舞い込む店内で、酒と客との新たな出会いが生まれている。



【酒かわら版を手に持ち話す佐々木社長(左)と佐藤店長】



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