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河北新報社 記者と駆けるインターン

老舗の新たな挑戦 東北大2年 舘岡明里

2015.03.28 01:00



【前掛け生地トートバックを手に、制作秘話を語る武田さん。



自身も出かける際の小物入れとして利用する】



 



インパクトある白抜きのタイが描かれたトートバック。



生地は鮮やかな紺色で、白いタイとのコントラストが印象的だ。



老若男女に好まれ、おしゃれのアクセントにもなる。



 



開発したのは、ファッションメーカーなどではなく、従業員12人の老舗染め物屋。



仙台市若林区南材木町にある「武田染工場」だ。



創業300年、江戸時代から前掛けや手拭い、半纏を染め続けている。



 



「前掛け生地を加工し、イベントで販売したんです」



16代目社長の武田和弘さん(53)は、自社製品を誇らしげに紹介する。



 



武田さんの社長就任以降、工場はオリジナル商品の開発という、新たな取り組みを始めた。コンセプトは「日常に寄り添う染め物」。



トートバックの他もカジュアルなデザインの商品が多い。



従来の製品と同様、一枚一枚伝統的手法で染め上げている。



 



「染め物屋は本来、他業者の下請けとして製品を染めるだけ。自社の名での商品販売はあまりしてこなかったのですが・・・」。



武田さんは新路線へと歩み出した背景を語り始めた。



 



印刷技術の発達や、生活形態の変化により、染め物の需要が低下してから随分と時が経った。染め物屋は大幅に減少している。東日本大震災の被害を機に、閉店した染物屋もある。



2011年、就任直後の武田さんの元にも、先代から懇意にしてきた東北の同業者が廃業したとの一報が入った。



「他人事とは思えず、家族や従業員の顔が頭をよぎりました」。



下請け体質でブランド力の乏しい自社の将来に不安を抱いた。



 



「自ら発信しなければ、伝統は廃れてしまう」



 



この思いが2013年秋、オリジナル商品開発に至るきっかけとなった。



挑戦はまだ始まったばかりだが、徐々に自社製品数は増やしている。



福祉施設や食品卸会社といった他業種と提携しての商品開発にも力を入れている。



利益全体に占める新商品の割合はまだ少ない。



しかし「一歩踏み出さなければ何も始まらない」と今日も染め物の魅力を発信する方法を模索する。



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