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河北新報社 記者と駆けるインターン

食にあるメッセージ伝えたい 東北学院大3年 鈴木恵

2015.09.04 18:00



 【看板商品である「おとうふ揚げ」を手にする高橋社長】



 



 しっかりした弾力と豆腐の甘さが口に広がる「おとうふ揚げ」、

さくっとした食感が病みつきになる「さつま揚げ」。

噛んでいくと、魚のうま味がじんわりと広がる。



 1905年に石巻市で創業した高橋徳治商店は、

練り物など水産物の加工製品を製造している。

素材の味を百パーセント引き出したいという思いから、

製品は防腐剤などの合成添加物を使わない。



 3代目社長の高橋英雄さん(64)は

「食べることで、生産者の苦労や製品にかける思いを感じ取ってほしい」と力強く語る。



 その背景には2011年3月に起こった東日本大震災があった。



 震災当時、3つあった工場が津波の被害によって、すべて操業停止に追い込まれた。

大きな喪失感と死すら考えた英雄さんを救ったのは、のべ1500人にも上るボランティア。

青森から鹿児島まで、主な仕入先である生協の職員や商品を愛する組合員、

ボランティア団体が石巻にある本社工場に集まっていた。

工場を埋め尽くしていた泥を必死にかき出し、機械を清掃した。



 同年10月、本社工場が復旧。看板商品の「おとうふ揚げ」の生産を再び始めた。

高橋さんは協力してくれた人たちへの恩義を強く感じた。



 2013年から東松島に新工場を置き、製造拠点としている。

朝6時から3時間以上かけて製品の味を確かめる。

0.01パーセントの塩加減にもこだわり、

使っている魚のうま味がもっとも出るまで調整し続ける。

「お世話になった人が『協力してよかった』と思ってもらえるように、

震災前の味をはるかに超える商品を作っていく」と意気込む。



 おとうふ揚げの現在の製品パッケージは、

郡山市の8歳の女の子が描いた、家族団らんの絵がプリントされている。

下には「3.11は忘れない。福島は忘れない。」と書かれている。

あえて「を」ではなく、「は」としたのは、

震災で亡くなった人や、原発事故で避難生活を強いられている被災者は、

3.11をずっと覚えている、という意味である。



 「震災はまだまだ終わらない」。

英雄さんの思いが、メッセージとともにおとうふ揚げに込められている。



 



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