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河北新報社 記者と駆けるインターン

震災前を超えるおいしさを求めて  国際基督教大1年 宮曽根郁

2015.09.08 01:00

 東松島市に工場を持つ高橋徳治商店は、

無添加練り商品をはじめとする水産魚介加工品の製造、販売を行っている。

看板商品は、国内でとれたタラすり身と国産大豆からできた豆腐を使った「おとうふ揚げ」だ。



 社長の高橋英雄さん(64)は

「昼食が食べられなくなるくらい、毎朝試食するんだよね」と笑う。



 無添加の練り物をつくりはじめたのは38年前。

大手の下請けをやっていた頃、先代が無添加志向を打ち出し、営業活動をはじめた。

子どもにも安心して食べさせられる食品として、

徐々に全国の学校給食に提供されるようになった。



 「素材を生かした安全な食品を食べてほしい。

無添加の練り物づくりは手間がかかるぶん、やりがいがある」と話す。



 合成調味料、保存料などを一切含まない無添加の練り物は、

品質の維持が難しい。

加熱温度は一度ずつ、塩は0.01パーセント単位で調整する。

毎朝味を確認するのは、5年以上の経験を積む社員だ。

塩加減はどうか。

甘みはちょうどいいか。

わずかな味の違いを舌で感じとる。

上手くいけば3時間ほどで味が完成し、製造を開始する。

上手くいかなければ、その日の製造を見送ることもある。



 2011年3月に発生した東日本大震災で、

会社は大津波の被害をうけた。

石巻市の全3工場がほぼ全壊し、製造停止。

従業員79人全員の解雇を余儀なくされた。

気持ちが沈みこむ日々がつづいた。

支えてくれたのは、鹿児島から青森まで全国から集まってくれた

1500人以上のボランティアや地元水産企業の社長、家族。

「大勢の人の気持ちを受け取って、

食品づくりにかける思いがさらに強くなった」と振り返る。



 2011年10月に製造ラインを再開。

13年には東松島の新工場に拠点を移し、

震災前の従業員は現在20名以上戻ってきている。



 無添加を追求した練り物。

それだけではなく、支えてくれた人たちに対する感謝の思いがつまった食品へ。

震災前を超える美味しさをめざし、試行錯誤をつづける。





【おとうふ揚げにこめる思いを語る高橋英雄社長】



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