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河北新報社 記者と駆けるインターン

佐々木写真館 「生きた証、写真に残す」

2015.03.12 01:00

B班

東北学院大3年 山口真依

明治大3年 根本純

立命館大2年 亀井文輝



 



地域に愛され70年、肖像写真の普及に力を入れる写真館がある。

仙台市宮城野区東仙台の佐々木写真館。

記念日はもちろん「終活」を考える高齢者には遺影として、

最高の思い出と面影を贈る。

代表の佐々木公則さん(64)は「その人らしい表情を写真に残したい」と語る。




【カメラ越しに笑顔で話しかける佐々木さん。

撮影では客とのコミュニケーションを欠かさない=仙台市宮城野区東仙台5丁目】



 



 



店内の壁には数多くの家族写真や振袖姿の写真とともに、

穏やかな笑みを浮かべるお年寄りのポートレートが並ぶ。

古希や退職祝いなどの節目に撮影されたものだが、

ゆくゆくは遺影写真にしたいという人も多い。



2011年秋から、70歳以上の高齢者を対象に「長寿祝い」として

無料撮影券を配っている。

近所で開かれる町内会の集まりに出かけては

「今度遊びにございん。きれいな顔を写してあげるから」と呼びかける。



2011年の東日本大震災が契機となった。

津波ですべてを失い、遺影を作ることさえかなわない被災者が数多くいた。

遺体は戻っても葬儀ができず、「故人を送り出せない」という嘆きも耳にした。

写真という、記録や個人の記憶に携わる者として、もどかしさばかりが募った。





自身も18歳で父が急逝し、思うような写真が見つからずに

遺影の準備に苦労した経験がある。

「人々の生き生きとした姿を1枚でも多く撮りたい」。

写真家として地域のためにできることを始める決意をした。



遺影はまさに自分の生きた証だ。

遺された者は故人の思い出を重ね、語りかけることができる。

「肖像写真を撮ることは、自分が亡くなったあとの親族への心遣いだよね」と佐々木さん。

1枚の写真の持つ重みをかみしめるようにつぶやいた。



地道な取り組みは少しずつ芽を出し始めている。

大病を患ったことをきっかけに遺影となる肖像写真を撮りに訪れた70代男性がいた。

「いい写真ば撮ろうねぇ」と声をかける。

被写体の笑みがこぼれた瞬間、フラッシュの光がスタジオを包む。

男性は帰り際、「これで気持ちが楽になった」と謝辞を述べた。

自分の役割を再認識する瞬間だ。



(了)



 



 



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