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河北新報社 記者と駆けるインターン

タクシーの発信 被災地を見つめる   宮城学院女子大3年 佐藤彩野

2014.04.05 00:00

東日本大震災の津波で建物が流失した場所に、高さ9メートルの御影石がひときわ目立つ。



 



仙台市若林区荒浜に建立された観音像を、タクシー運転手の桜井慶哉さん(66)が案内する。



花を手向け、海に向かって手を合わせる。



備えられた溢れんばかりの花に胸が詰まった。



 



桜井さんが働く仙台中央タクシー(仙台市宮城野区扇町)は、被災地を案内し、当時の状況や現状を説明する「語り部タクシー」を2012年11月に始めた。



希望コースを事前に決め、最短2時間半を1万3千円程で回る。



現在、宮城県内33社から100数人が活動している。



その先駆けとなったのが仙台中央タクシーだ。



  



震災発生直後から、バスでボランティア団体を被災地に送迎していたが、半年たった10月頃から、徐々に数は減っていった。



危機を感じた専務の神田稔さん(38)は語り部タクシーを発案した。



 




「被災地と乗客の間の接着剤になりたい」と話す神田さん



 



多くの方に被災地に来て、被災者の目線を知ってほしいという思い。



「語り部タクシーは被災地と乗客との接着剤でありたいんです」と話す。



社内で語り部を呼び掛け、桜井さんを含む10人が手を挙げた。



 



関東を中心に、県外から来る乗客が多い。



次、震災が起きたとき何ができるか、考える手助けになればと活動している。



利用者からは「実際に被災地に行かなければ、分からなかった」という感謝の手紙が届く。



 



すべてうまくいった訳ではない。



語り部タクシーを始めたころ、被災者から「被災地を売り物にするな」と非難する声が上がった。



神田さんは声を上げた住民の前に行き、訴えた。「他の人が同じ思いをしないためにも、伝えていく必要がある」。



震災を伝えることで、その次の防災に役立たせたいという神田さんの気持ちは住民に伝わった。



 



5年先、10年先も被災地の先を見据えられるよう、震災を伝えて続けてほしいと思う。



 



 



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