Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

河北新報社 記者と駆けるインターン

野菜以外にも届けたい   尚絅学院大3年 桜田俊介

2014.03.31 00:00

 



毎週水曜、土曜の仙台市若林区荒町商店街の一角。



「おいしいみかん、とっておいてね!」という常連客の言葉に、「はいよ」と言葉を返す店主の渡辺智之さん(34)。



地元野菜などの移動販売「産直ぽんぽこ」では、午前10時の開店を前に常連客が訪れ始める。



客と店主との軽やかなやり取りに、信頼関係の確かさがにじむ。



 



同区荒浜地区の被災農家でもある渡辺さんは、塩害を乗り越えた農地で作り始めた自家製の野菜のほか、



提携する地元の農家などから仕入れた青果物を、簡易テントの下に並べて売っている。



 



 




仕入表を真剣に確認する渡辺さん=3月12日、仙台市若林区荒町商店街の及川酒店前



 



 



その日の朝に収穫した新鮮な物が多く、常連客の一人、中澤久美子さん(38)は



「ここのトマトは甘くておいしい。子どもも喜んで食べるんです」と言葉を弾ませる。



 



東日本大震災から約1年後の2012年4月に営業を始めた。



荒町商店街では震災後にスーパーが閉店し、身近な買い物場所が失われた。



地元の人たちの支持は厚い。



 



「安心して食べられるものを販売して地域に根差した商売をしていきたい」と話す渡辺さん。



今年2月、仙台地方は78年ぶりの大雪に見舞われた。



外出するのも困難な状況下にも関わらず開店したぽんぽこには、多くの常連客が訪れ、



「野菜が早く売り切れれば、ぽんぽこさんも早く店じまいできるでしょ」と、渡辺さんを気遣った。



「あれには、胸が温かくなったねぇ…」



 



信頼が必ずしも利益に繋がるわけではなく、経営はまだ軌道に乗っていない。



それでも、農業者の顔が見える対面販売に意義を感じている渡辺さんは、荒町商店街のほか、



週に一度、同郷の被災者が多く暮らす若林区内の仮設住宅でも露店を開いている。



慣れない土地で、買い物を困難と感じている高齢者が多い。



70代の女性は「スーパーまで遠く、自転車のカゴは小さいから2往復する時もある。



週1回、近くで野菜を買えるのはとてもありがたいの」としみじみ話す。



 



渡辺さんは、青葉区内で近隣にスーパーの少ない地域に、新たにテナントを構える計画を立てている。



「小さい店舗だからできる、地域に根付いた販売者と消費者の距離の近い商売をしたい」



新たな土地でも消費者に安心感を手渡し続ける。



 



--------