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河北新報社 記者と駆けるインターン

困っている人々へ贈るモノと心      東北学院大3年 菅原涼夏

2014.04.10 00:00

 



「どれが食べごろかしら」。



女性客が尋ねる。



「皮が軟らかくて、身が引き締まっているやつ…これかな」と言って、みかんを手に取り差し出す店主。



仙台市若林区の仮設住宅で毎週木曜日の日中、青果物販売を行う露店「産直ぽんぽこ」を開く渡辺智之さん(34)だ。



同区荒浜の農業者で、東日本大震災の津波で家を失い、田畑は塩害を被った。



自身も被災者でありながら、震災から約1年後の2012年4月に、買い物に不便を感じている人々のためにぽんぽこを始めた。



 



葉に朝露が光るユキナ、土をまとったままのニンジン。



採りたて野菜は渡辺さんの自作のほかに、同じく被災した近隣の農家からの直送だ。



青果市場から仕入れた果物なども店先に並ぶ。



 



 




常連客と親しげに話す渡辺智之さん



 



仮設住宅に住む佐藤智恵子(77)さんは「ここからはスーパーが遠い上に、自転車はかごが小さいから、2往復しなきゃならない時もある。



毎週近くで買い物ができるのは助かるのよ」としみじみ話す。



お年寄りが多い仮設住宅では買い物に不便を感じている住民は少なくない。



 



「大げさに言うと、働くことで世の中にある課題を解決に近付けたい」と話す渡辺さんの仕事は、自身の生計を立てるためだけではなく、実際に困っている人を助ける結果につながっている。



仮設住宅での売り上げは前より減ってきている。



しかし、それほど意に介していない様子だ。



「商売として成り立たないのは困るけど、需要がなくなるのは良いことでもある。買い物が困難だと感じていた人が少なくなったということだからね」



 



渡辺さんは震災後、近所のスーパーが閉店し、買い物が難しくなった同区の荒町商店街でも水曜日と土曜日に露店を開いている。



今後は仮設住宅と同じく、お年寄りが多い青葉区の東照宮に固定店舗を設ける予定がある。



「産直ぽんぽこ」は、これからも買い物が困難な人々に歩み寄り続ける。




 



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