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河北新報社 記者と駆けるインターン

風化を防ぐ語り部の力  東北学院大3年 田中晶子

2014.04.11 00:00

 



東日本大震災をきっかけに「津波被災地を案内し、防災を語り続ける」事業に取り組む会社がある。



仙台市宮城野区扇町の仙台中央タクシーは2012年11月、被災地を案内する語り部タクシーを始めた。



利用者の希望に応じて被災地を回り、震災前の街並みや、被災時の状況などを運転手が語る。



NPO法人宮城復興支援センターの講習を受講した37人が活動する。



 



全国や海外から「語り部タクシーに乗ってよかった」という感謝の手紙が届いている。



同社は、震災直後から、ボランティアを被災地に送迎していた。



神田稔専務(38)は「その時に見た被災地の信じられない光景が今でも忘れられない」と振り返る。



 




語り部タクシーを発案した神田稔専務



 



 



一方で、震災から半年が経過すると徐々にボランティアが減ってきた。



「このままでは震災が風化してしまう。どうにかしなくてはならない」という危機感と使命感が、語り部タクシーを始める原動力となった。



 



同社が「語り部」を始めた当初は、被災者から「人の土地で何をしているんだ」などと非難を受けた。



直接話し合う場を設け、「被災地を知ってもらうことで、次に起こる災害に備えることができる。多くの人に震災を伝え続けることがタクシーの使命なんです」と説得した。



被災者の理解と協力が取り組みの前提であることを、あらためて学んだ。



現在、宮城県内の33社が実施する語り部タクシーの展開を、業界で最初に呼び掛けたのは神田専務だった。



「より多くの人に震災を伝えるには、他の会社の協力が欠かせなかった」と語る。



今では、18歳という若いドライバーも含めて約100人が携わる。



 



語り部タクシーを担ったことで、乗客とのコミュニケーションに苦手意識があったドライバーが、自ら積極的に関わろうとするなど、思わぬ副産物もあった。



震災から3年。



神田専務は今後を見据えて思い描く。



「語り部タクシーに乗ったお客さんが、万が一次の災害があった時、『備えていて良かった。被災地に学んでいて良かった』と思えるようにしたい。それが被災地を伝えるタクシー屋の願いです」。



 



 



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