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河北新報社 記者と駆けるインターン

生涯が終わるまで続けられる 東北工業大3年 小幡竜一

2014.04.11 00:00
 



仙台市太白区長町にある公衆浴場「鶴の湯」は、ビルの2階で営業している。



 



浴場の中はテニスコート半面程の広さ。



中央と両端に洗面台があり、奥には浴槽が横1列に並ぶ。



経営者である木村仁則さん(67)は、「一番気を遣うのは掃除と湯加減」と語る。



銭湯全体の掃除を入念に。



湯はミョウバンでろ過し、綺麗な湯を保つ。



居心地良いお湯と浴場を提供するためだ。



 



 




 湯加減を確かめる木村さん



 



1950年創業。



木村さんは2005年に会社勤めをリタイヤした後、鶴の湯を開いた父の跡を継いだ。



夫婦で経営して9年が経過する。



浴槽は電気風呂、バブルバス、ブラックシリカ、ジェットバスの4種類。



毎週日曜日は月替わりの薬草風呂もある。



 



東日本大震災時、ライフラインが途絶え、5日間は営業が不可能だった。



ボイラーが故障し、銭湯の命である湯を沸かすことが出来ない。



公衆浴場にとっては死活問題だ。



ライフラインが復旧すると、すぐに営業を再開。



震災から約1週間、風呂に入れずにいた人は少なくなかった。



1日に来場者は500~600人。



外に長蛇の行列ができる程混雑した。



 



寒風の中で、12時間も待ち続けた人もいたという。



入浴という当たり前の環境を失った被災者にとって、風呂はそれだけ求められた。



入浴後の客は一様に、安どの表情を浮かべていた。



風呂は体だけでなく、心も温めた。



 



震災から3年経った今、被災者の生活は安定を取り戻しつつある。



現在の一般家庭のほとんどに風呂はある。



当然、公衆浴場の経営は苦しい。



それでも木村さんは銭湯を愛してくれる人のため、暖かな湯を張り、清潔な浴場を整える。



常連客の一人、赤坂幸授さん(55)は「ここはとても居心地がいい。



木村さんの人柄の良さもあって来ています」と語る。



木村さんの実直な仕事ぶりが常連客の気持ちを繋ぎ、また客の足を鶴の湯へと向かわせる。



木村さんは「銭湯は死ぬまで続けられる商売です」と仕事への愛を語る。



今日も番台で静かに、客の訪れを待っている。



 



                                                      



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