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河北新報社 記者と駆けるインターン

セリをもっと愛される食材に    広島大3年 酒井春佳

2014.04.12 00:00

 



たちこめる湯気の中から、鮮やかな緑色のセリが顔をのぞかせる。



口に入れ、噛みしめたとたん、ふわぁっと広がるセリ独特の香りと味。



宮城県の伝統野菜を使った「セリ鍋」が、近年仙台の居酒屋で人気を呼んでいる。



 



「多くの人にセリを食べてもらえるのは、うれしいねえ」。



顔をほころばせるのは、名取市下余田でセリ栽培をする大内繁徳さん(50)。



セリ鍋ブームを陰で支える農家の一人だ。



8代続く農家の長男。



 




自慢のセリ田に立つ大内さん=宮城県名取市下余田



 



地区のセリ出荷組合の組合長を務め、40の農家を率いる。   



出荷量の増加と安定のために、昨年から1農家あたりの耕地面積を地区全体で約4000㎡拡大した。



病気対策や農薬の勉強会を定期的に開催し、組合全体でセリ栽培の質の向上を図っている。



 



宮城県のセリ出荷量は全国1位。



中でも名取市下余田地区は、東京ドーム2個分のセリ田が広がる、県内屈指の産地だ。



セリ田を常に循環する名取川の澄んだ地下水は、水温を一定に保ってくれる。



 



2011年の東日本大震災では、津波の影響で沿岸部にある排水設備が故障。



セリ田の排水量が制限され水温が低下し、規格通りには作れなかった。



それでも震災10日後には、市役所を通じて名取市の避難所へセリを届けた。



「避難所では乾パンやおにぎりなどの非常食が多い。栄養価の高いセリを食べてほしかった」という思いだった。



 



現在、名取市の仮設商店街では「セリ鍋」「セリ入り春巻き」が販売され、人気を集めている。



江戸時代から栽培が続く伝統野菜だからこそ、復興のシンボルとしても用いられる。



「地元農家として、できることを地道にやるだけです」。



さわやかな表情で語る。



 



子どものころから地元の野菜に親しみをもってもらおうと、小学生向けのセリ栽培体験学習にも積極的に取り組む。



「幼いときから地元の野菜に親しみ、親になっても子どもへ魅力を伝えてほしい」。



セリが一時のブームだけでなく、長く愛される食材であってほしい。



大内さんの願いだ。



 





 



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