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河北新報社 記者と駆けるインターン

C班原稿 「生きた七夕 作って感じて」

2014.03.26 00:00

慶応義塾大3年肥田佳那、東北学院大3年武藤恵里花、東北大3年後藤武尊、東北大2年洞口駿



 



和紙の滑らかな触り心地と色鮮やかな模様。



友禅染によって同じ色でも多彩な表情が出る。



「七夕飾りの吹き流しは全てが和紙なんですよ」。鳴海屋紙商事(仙台市若林区卸町)の山村蘭子さん(82)は言う。



七夕飾りを30年以上も作り続けている。



「目で見て、手で触ると七夕の魅力がよくわかる。作ってみるのが一番なの」



 




真心を込めて七夕飾りを作る山村蘭子さん=仙台市若林区卸町の鳴海屋紙商事本社



 





高度経済成長期、仙台の商店街に県外の企業が進出した。



地元の商店と異なり、飾りを自作できなかった企業が大半だ。



代わって鳴海屋が七夕制作を担い始めた。



 



今では仙台七夕まつりで展示される飾りの3分の2、約1500本の制作に関わっている。



仙台をPRする各地のイベントで使う飾りも請け負う。



使い回しはしない。



作業量が多いため、準備は冬から始まる。



 





東日本大震災で社屋が大きく壊れ、紙の裁断機も故障した。



七夕まつりは開催が危ぶまれた。



社員を突き動かしたのは、「七夕を絶やす訳にはいかない」という使命感だ。



震災発生から2週間後、青葉区一番町の作業場で制作を再開した。



「震災の年の七夕は、人々の復興への願いが込められていた。紙に艶があり、本当に美しかった。七夕は生きている」と山村さんは力説する。





鳴海屋紙商事の6代目、鳴海幸一郎さん(46)は、中学生のころから山村さんと七夕飾りを作り続けてきた。



「より多くの人に魅力を体感してほしい」と、全国で七夕制作を指導している。



子どもたちに七夕作りの輪を広げる「星に願いを」プロジェクトは2011年に始まり、鳴海さんは立ち上げに関わった。



毎年、仙台市内の小中学生約8万人が参加している。



父母も協力し、初年度は全員で鶴を折った。



今年は吹き流しやくす玉を作る予定だ。



「各学校が一つずつ七夕飾りを出したら面白いんじゃないか」。鳴海さんは将来像を思い描く。



 



 



先祖供養、商売繁盛、復興の象徴。



仙台人は七夕に願いを込め続けてきた。



「七夕祭りの主役はいつも市民。私たちはあくまで黒子に過ぎない」。鳴海さんも山村さんも同じ思いを持つ。



 



作り上げるたび、心地良い達成感が涌き上がる。



鳴海さんは七夕飾りに仙台の未来を託す。



「市民の願いが込められた七夕飾りが商店街に溢れかえりますように」



 



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