1981年①
1981年ははとバスの車両が大きく変化した年でしたので、2回に分けて取り上げます。1回目は、春に導入された車両をご紹介します。3月には例年通り新車が導入されましたが、通常であれば定期観光バス用と貸切観光バス用が並行して導入されるところ、この年は定期観光バス用のみが導入されました。導入されたのは1977年以来導入が続いていたいすゞのハイデッカーIIで、計8台が登場しました。前年同様、昭和54年排ガス規制に適合したK-CRA650が継続導入されましたが、ボディもリベットレスになるなどハイデッカーの完成型ともいえる車両でした。春は貸切観光バス用の新車の導入は見送られたのかと思われましたが、5月に「ニューパノラマ」と呼ばれる豪華バスが衝撃的に登場しました。はとバスが貸切観光用に特殊車両を導入するのは久しぶりの事であり、更に当時流行していた固定サロンを設けた本格サロンバスではなく、全座席が回転する豪華バスであったことも注目を集めました。このニューパノラマは合計4台導入されましたが、車種選択も話題となりました。2台は「順当」に従来車と同じ外装デザインを纏った当時のいすゞのフラッグシップであったハイデッカーIV型でしたが、このモデルは登場間もない新型であり、東京ではまだ導入例も少なく、珍しい存在でした。しかし、それ以上に話題となったのは残り2台の日野スケルトンでした。それまでは中型車の導入はあったものの、日野の大型車は10年以上も導入実績がありませんでした。従って、日野車の登場だけでも意外でしたが、大きな赤い文字で「Hato Bus」と書かれたイメージを一新する大胆な外装デザインもインパクトがありました。春だけでも驚きの連続でしたが、秋には更なるサプライズがありましたが、こちらは次回にご紹介します。
写真①
久しぶりに導入された貸切用特別仕様車両「ニューパノラマ」。計4台導入されましたが、内2台はいすゞK-CSA650(川重ハイデッカーIV型)で、ヘッドライトが縦に並ぶ個性的なマスクをしていました。当初、いすゞの車両は従来と同じ車体デザインでしたが、後に日野の車両と同じデザインに変更されました。
写真②
ニューパノラマ車内のイメージ図。ほぼ全座席が回転する豪華仕様でした。
写真③
赤い「Hato Bus」の文字が印象的なニューパノラマの日野車。型式はK-RS360Pで、約10年振りの日野製大型観光バスの登場となりました。
写真④
日野の車両の前扉は一見普通の折戸の様でしたが、実は外側に開くスイングタイプでした。